日本経団連の御手洗冨士夫会長は1日、「地球温暖化防止に向けたより一層の行動を―京都議定書約束期間の開始にあたって」を会員あてに発信した。全文は次のとおり。
地球温暖化の防止は、人類の存立基盤に関わる大変重要な課題です。日本経団連は、1997年以来、CO2削減のための環境自主行動計画を掲げ、会員各位のご協力・ご参加により、積極的に地球温暖化防止に取り組んでまいりました。わが国企業は、長年に亘り培ってきた世界最先端の技術を活用して地球規模での温暖化防止に大きな役割を果たしています。
企業は、生産活動に加え、製品やサービスの提供・調達、研究開発、投融資等、さまざまな活動を行っており、ステークホルダーとの関係を活用して、地球温暖化防止に貢献することが可能です。
京都議定書約束期間が始まるこの機会を捉え、改めて、地球温暖化防止の緊急性と経済界が果たすべき役割を再認識し、率先して温暖化防止にお取り組み下さいますよう、会員各位に以下のお願いを申し上げる次第です。
日本経団連のCO2削減のための環境自主行動計画には、現在、61団体・企業にご参加いただいています。すでに参加されている団体・企業においては、京都議定書の目標達成に向けて各々が掲げる計画の着実な実施をお願いしたいと存じます。また、まだ参加されていない団体・企業については、是非、私たちの取り組みにご参加下さいますようお願いいたします。
運輸部門においては物流拠点の統廃合、輸送の共同化等の物流効率化や低公害車の導入、モーダル・シフトなどにより「グリーン物流」化を進め、環境負荷の小さい物流システムを構築していただきたいと存じます。
業務部門においても、オフィスにおける省エネのための数値目標の設定、省エネ性能の高い機器の利用、クールビズ・ウォームビズの推進、サマータイムの試験的な導入(注)など、オフィス等における温暖化対策をより一層推進されるよう、お願いいたします。
長期的な視点からみた地球温暖化防止の決め手は、技術です。そして、技術分野こそ、温暖化防止に向けて経済界がもっとも大きな役割を果たせる分野です。引き続き、地球温暖化防止に資する技術のレベルアップを図り世界をリードするとともに、適切な手段で、国内外への技術の普及を図っていただきたいと存じます。あわせて長期的な視点の下に、革新的な技術の開発を積極的に推進することを強く期待しております。
わが国において民生部門のCO2削減が大きな課題となっている中、経済界は、省エネ製品・サービスの開発・普及、3R(Reduce, Reuse, Recycle)の推進等により、製品のライフサイクルを通じ温暖化防止に貢献できます。引き続き、世界最高水準の省エネ製品・サービスを開発・提供していただきますよう、お願いいたします。
事業活動を通じた温暖化防止への取り組みに加え、企業は、取引先、従業員、社会など、さまざまなステークホルダーに対して温暖化防止を働きかけることができます。
温暖化防止に資する製品・部品などを優先して購入するグリーン購入、温暖化に配慮した企業に優先的に投融資を行うグリーン投融資を推進していただきたいと存じます。
従業員・社会一般に対しても、家庭における省エネルギーの推進、CO2排出量に関する表示の充実、環境家計簿の奨励や教育機関での公開講座の実施などによる啓発活動等をお願いいたします。また、環境報告書等による情報発信、植林・森林保全など緑の国づくりにつながる活動も積極的に行っていただきたいと思います。
上記をはじめとする温暖化対策の進捗状況については、担当役員や担当部署を設置するとともに、P-D-C-Aサイクルを回すなど社内体制を整備していただきたいと存じます。こうした動きが、やがては地球と共存できる社会システムづくりにつながることを期待しています。