日本経団連は18日、環境自主行動計画2007年度フォローアップ調査結果を発表した。
1990年代における不法投棄の社会問題化や最終処分場の逼迫問題を踏まえて、日本経団連では、97年から、廃棄物対策に係る「環境自主行動計画」を策定し、産業界の自主的な取り組みを推進してきた。その結果、産業廃棄物最終処分量を90年度実績の8割強削減するなど、大きな成果を上げてきた。
近年における産業界の取り組みは、単に廃棄物対策にとどまらず、循環型社会形成に向けて、3R(リデュース・リユース・リサイクル)など、幅広く取り組んでいることから、日本経団連では、昨年度、同計画を「廃棄物対策編」から「循環型社会形成編」に改編した。同時に、産業界全体の目標(「2010年度の産業廃棄物最終処分量を1990年度実績の75%減とする」)を既に3年連続前倒し達成したことを踏まえ、同目標を「2010年度に1990年度実績の86%減とする」に上方修正した。また、各業種の特性や事情等に応じ、業種ごとに、最終処分量削減以外の独自目標を設定し、幅広い取り組みを推進することとした。
18日に公表した同計画の07年度フォローアップ調査結果によると、参加40業種のうち、産業廃棄物を排出している主要31業種の06年度の産業廃棄物最終処分量実績は873万トンであった。これは、基準年としている90年度実績の約5895万トンと比較すると、85.2%の削減となった。05年度実績比では約2%減(約18万トン減)であり、ここ数年における最終処分量の削減ペースは、同計画開始当初に比べて明らかに鈍化している。
昨年度から導入した、業種別独自目標については、今年度、新たに目標を設定したり、目標値を見直した業種もあり、現在38業種が掲げている。
近年におけるアジア諸国等の急速な経済発展を背景に、資源・エネルギーをめぐる需給が極めて逼迫している状況の中で、とりわけ、資源小国であるわが国において、省資源・省エネルギー、さらには資源の循環的利用の重要性が従来に増して高まっている。今後、従来型の廃棄物処分場の逼迫問題や廃棄物の適正処理の必要性といった観点にとどまることなく、わが国資源政策の観点からも、循環型社会形成に向けた取り組みの推進が不可欠となってきている。
このような認識の下、産業界は引き続き、各種法令等の順守や廃棄物の適正処理の確保はもちろんのこと、各業種の特性・実情等に即しながら、環境技術開発や環境配慮設計、産業間連携の推進など、自主的かつ積極的に3Rの推進に努めていく必要がある。
産業廃棄物最終処分量については、90年度比で既に8割強の大幅削減を実現していることから、現状の環境技術・法制度の下で、これ以上の削減が限界に近づいている業種も多い。また、今後の経済成長政策に伴う生産量の増加や、戦後建てられた建築物の建て替え需要の増加や、需給逼迫による天然鉱物の品位低下、環境規制の強化など、産業廃棄物排出量の増加要因も想定されることから、今後の産業廃棄物最終処分量の大幅な削減は難しい状況にある。
日本経団連としては、関係業界の協力を得ながら、「経済情勢等の変化にかかわらず、産業廃棄物最終処分量を増加に転じさせない」との決意に基づき、当面、昨年3月に改定した産業界全体の第2次目標の実現に向けて、より一層努力していく。