日本経団連(御手洗冨士夫会長)は18日、「道州制の導入に向けた第2次提言−中間とりまとめ」 <PDF> を公表した。日本経団連では2015年を目途に道州制を導入することを求めており、昨年3月には「道州制の導入に向けた第1次提言」 <PDF> を発表している。17日に記者会見した中村邦夫副会長・道州制推進委員長は、この「中間とりまとめ」をもとに国民や各地の経済界などの意見を幅広く聞き、今年秋にとりまとめる予定の「第2次提言」に活かしたいと述べた。「中間とりまとめ」では、道州制の導入で国民の身近な生活がどのように変わるのかを示すとともに、国の出先機関の人員の大幅削減や地方交付税改革など、今すぐ着手すべき7つの改革を提言している。また、2015年の道州制導入に向けロードマップや今後の検討課題も示している。概要は次のとおり。
日本経団連が求める道州制は、現行の都道府県に替わる広域自治体として全国を10程度に区分する「道州」を設置し、地方公共団体を道州と基礎自治体の二層制とするものである。現在の中央集権・官主導体制から道州制による地域自立・民主導体制に移行することで、わが国全体の豊かさが増加するとともに行政サービスの質が向上することが期待できる。道州制の実現には国民一人ひとりの理解とあわせて、政治の強力なリーダーシップが必要である。
真の住民自治を実現するために必要な権限と財源を備えた道州・基礎自治体が創意工夫をこらしながら政策を立案・実施するようになることで、国民生活に大きな変化がもたらされる。例えば、(1)防災・消防体制の強化(2)地域の治安の向上(3)子育て支援、人材育成の充実(4)地域医療・介護体制の充実(5)独自の産業振興策の展開と雇用の創出(6)地域資源を活かした観光振興の推進――という効果が期待できる。
道州制のもとで、国は対外的分野、市場の機能円滑化・発揮のためのルール整備、最低限のセーフティネットの整備などに専念、これに伴い中央省庁も半数程度に解体・再編する。
一方、内政は道州と基礎自治体が主体となって政策を立案・実施し、道州間の政策調整は道州が自律的に行う。国と地方の新たな役割分担を踏まえて、税財政制度を抜本的・一体的に改革するとともに、現行の地方交付税や国庫補助金を廃止し、新たに「地方共有税」「シビルミニマム交付金」(いずれも仮称)を設けて水平的な財政調整の仕組みを入れることが必要である。
道州制の導入に向け、今すぐに以下の改革に着手すべきである。第一に地方分権改革を断行し、国から都道府県へ、都道府県から市町村へ思い切った権限と財源の移譲等を実現すべきである。第二に、国から地方への権限・財源の移譲に伴い、地方支分部局の職員定数を大幅に削減すべきである。国の地方支分部局に勤務する職員約21万6千人のうち、2010年度末までに2万7千人弱の定員純減が行われるが、日本経団連の試算では、さらに6万8千人弱の職員を地方に転籍させ、3万4千人弱は民間部門で勤務することが可能である。第三に、道州制導入に伴う国・地方を通じた税財政制度の抜本改革に先立ち、地方交付税と国庫補助負担金の改革を行うべきである。このほかにも、第四に地方公共団体の行財政能力の強化、第五に地方公共団体のガバナンスの強化、第六に電子行政・電子社会の構築に向けた取組みの加速、第七に国の資産・債務の縮減が求められる。