日本経団連は4日、東京・大手町の経団連会館でクロアチア共和国のスティエパン・メシッチ大統領との昼食懇談会を開催した。クロアチアからは、初来日となるメシッチ大統領のほかミカツ貿易投資促進庁長官、トゥルノコプ・タヌタ経済会議所副会頭らが、日本経団連からは米倉弘昌副会長らが出席した。
冒頭、米倉副会長は、2003年9月に自身が団長を務めるミッションでクロアチアを訪問したことを振り返るとともに、クロアチアが2000年にWTOに加盟し、さらに05年にはEUの加盟候補国となったことに触れ、EU加盟が実現すれば日本との経済関係も一層緊密の度を増すものと期待していると述べた。
メシッチ大統領からは、概要次のような発言があった。なお、ミカツ長官およびトゥルノコプ・タヌタ副会頭は、日本からの直接投資に強い期待感を表明した。
今回の訪日は、日本とクロアチアとの経済関係の強化を目的としている。昨年、両国間の貿易額は順調に伸びたものの、クロアチアの輸出は減少し、貿易赤字が増えた。このような現状は必ずしも満足のいくものではなく、あらゆる可能性を追求していきたい。現在、対日輸出の第1位はマグロであるが、例えば、養殖業や健康食品などでも日本と協力できる可能性がある。
他方、クロアチアへの日本人観光客が増加していることには満足している。今後、ますます発展が期待される。昨夏には4便と限定的ながら、日本とザグレブ、ドブロブニクの間を結ぶ航空直行便(チャーター便)が実現した。
クロアチアの政情は安定している。また、2年後2010年のEU加盟をめざして、EUの法制度との調整、司法制度および行政の改革を進めているところである。投資する価値のある国をめざしており、日本からも自動車部品などの分野で投資を期待している。造船業の再生にも取り組んでおり、この分野での協力の可能性も大きい。
クロアチアは有能な技術者を擁している。また、中・東欧へのゲートウェイとして自由港の利用も可能である。さらに、10年には高速道路網が完成するなどインフラの整備も進む予定である。