日本経団連は2月22、23の両日、静岡・小山町の経団連ゲストハウスで、第17回経団連ゲストハウス社会貢献フォーラムを開催した。同フォーラムには、企業の現場で社会貢献活動に携わる60名が参加し、「社会貢献活動の効果をより高めるために」をテーマに、実践面に焦点を当てて討議を行い、参加者が認識を共有した。
初日冒頭の全体討議では、「社会貢献活動の評価力を高める」をテーマに、日立ファウンデーションのバーバラ・ダイアー事務局長兼CEOが米国の医療分野における低賃金、未熟練労働者への助成事例を中心に、外部の学術研究機関などによる社会貢献活動の評価の実態を紹介した。その上で、社会貢献活動の効果を測定・評価できるようにするためには、目標を明確にし、目標を達成するための戦略を理論に基づいて立てるとともに、それを実現するための能力を開発し、進展状況を把握するための尺度を持って戦略が前進しているかを常に見ていく必要があると訴えた。また、他の財団とパートナーシップを組み、プロジェクトの資金規模や活動範囲を拡大させて資源を有効的に活用し、社会にインパクトを与えていると述べた。
第2セッションの全体討議では、「コーディネーターの意義や機能について考える」をテーマに、日本ボランティアコーディネーター協会の後藤麻理子理事・事務局長がコーディネーターの現状と役割を説明した上で、ボランティアの現場では市民と市民または組織を「対等につなぐ」ことがキーワードになるとの認識を示した。また、コーディネーターは、個別の問題を社会化して解決策を開発・提言する役割も果たすべきであると強調した。続いて行われた意見交換では、企業がNGOと協働する際には、資金や物品以外に持っている力を示し、社員をボランティア活動に参加させる意義や社員に期待している変化を明確にすることが重要であるとの指摘があった。
2日目の全体討議では、「社会貢献の担い手と企業グループ本社の連携」をテーマに、三井住友海上火災保険の山ノ川実夏氏が自社の社会貢献活動の変遷や地域で多様な形態で展開されている事例を紹介した上で、社会貢献担当部署の役割は関連情報・ヒントの提供や活動結果の社内外へのアピールなどのコーディネーション機能にあると述べた。また、地域社会・国際社会の一員として、各社員が他者を思いやる心の持ち主となって、社会の課題に気付いて解決に向けた活動に参加することが社会的責任であるとの考えを表明し、多くの参加者の共感を得た。
全体討議に続いて「社会貢献活動の評価」「関連部署との連携・役割分担」「企業の地域貢献は誰が担うか」の三つの分科会に分かれて、少人数によるグループ討議を行い、検討結果を全体討議で報告して、意見を交換した。最後に、日本経団連社会貢献推進委員会社会貢献担当者懇談会の嶋田実名子座長が、社会貢献担当者がコーディネーション機能のスキルを磨き、今後とも活動の効果を高めて、評価手法を探求し続けることへの期待を表明して同フォーラムを締めくくった。