日本経団連タイムス No.2896 (2008年3月6日)

大久保・日本経団連自然保護協議会会長、東京湾「海の森」事業予定地視察

−計画概要の説明聴取


日本経団連自然保護協議会の大久保尚武会長と企業の環境、CSR担当者らは2月12日、東京都が東京湾の中央防波堤内側に計画中の「海の森」事業予定地の視察を行った。

都では昨年「緑の東京10年プロジェクト」の基本方針を発表。今後10年間に街路樹を100万本までに倍増させ、神宮の森や新宿御苑など緑の拠点を結ぶことで、緑のネットワークを充実させ、さらに公立学校の校庭を芝生に張り替えるなど緑の再生とヒートアイランド対策を行うとしている。

さらに、ごみと残土等で埋め立てられた人口島88ヘクタールに10年かけて植樹し、ここを循環型社会のシンボルとして世界に訴えたいとしている。いわゆる「海の森」事業である。都では今後、これら「緑の東京10年プロジェクト」に対し、広く個人や企業からの資金協賛を募ることとしており、都民挙げての緑の運動を展開していく予定である。日本経団連では大久保協議会会長が同プロジェクト募金実行委員長に就任し、また昨年12月には、同プロジェクトの個人委員である建築家の安藤忠雄氏を招き、経団連会館において「都市に緑を」と題した講演を聴くなどの支援を行っている。

「海の森」の現場はお台場から車で10分程の中央防波堤の内側の埋立地にある。都は2016年の東京オリンピック招致が実現すれば、この周辺をボート競技の会場として整備することを計画している。視察当日は都港湾局臨海開発部の小林敏雄部長、環境局自然環境部緑化募金担当の小山哲司参事らの案内で見学を行った。

キックオフイベント会場植樹地や全国植樹式の植栽現場などを見学

最初に環境局の合同庁舎から「海の森」の全景を眺め、計画概要の説明を受けた。続いて、昨年7月に石原慎太郎都知事らが参加して行われたキックオフイベント会場での植樹地を視察した。その後、1996年に開かれた全国植樹式の植栽現場を視察。天皇皇后両陛下御手植えのイチョウが順調に育っている様子などを見学した。あたりは広葉樹、針葉樹などが交じり、海風にも負けずに、立派な森に育っていた。計画では都内の緑地や街路樹から集めた落葉などをたい肥にして、埋立地の残土に混ぜ、植樹に適した土壌へ変えていく予定で、08年度は1ヘクタールの植樹にとどまることになる。

昨年まとめられた第三次生物多様性国家戦略には都市における緑地の保全・確保の必要性が記されおり、協議会としてもその重要性を認識。「海の森」が行政、企業とNGOが連携しながら、環境教育の拠点として活用されるなど、さまざまな活動が実施されることを期待している。

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