日本経団連タイムス No.2895 (2008年2月28日)

デ・ボアUNFCCC事務局長が来訪

−京都議定書後の地球温暖化防止の国際枠組で意見交換


日本経団連の御手洗冨士夫会長は14日、東京・大手町の経団連会館で、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のイヴォ=デ・ボア事務局長の表敬訪問を受け、京都議定書後の地球温暖化防止の国際枠組等について意見交換を行った。

冒頭、御手洗会長から、「温暖化防止は全人類的利益につながるものであり、また地球規模の問題でもある。実効的な対策のためには、ポスト京都議定書の枠組にすべての排出国が参加することが一番重要である。また、温暖化問題は、経済成長と表裏一体であり、環境と経済の両立が可能な国際枠組が大事である」との発言があった。その上で、「温暖化問題を解決するものは、究極的には技術である。従って、ポスト京都では、国際連携による革新的技術開発を図る取り組みを検討すべきである。さらに、先進国が省エネ・環境技術で途上国にいかに貢献していくかも当然議論されるべきである」と述べた。

デ・ボア事務局長は、「地球温暖化問題が環境的課題よりも経済的課題の方が大きいという見解、技術開発・技術移転が重要であるという点に賛同する。昨年12月のバリにおける締約国会議第13回会合(COP13)において、温暖化防止のための枠組についての新しい作業部会が設置されたが、これは新しい契機となる」と述べ、「第一に、先進国間の排出量削減義務の内容を見直す機会となる。京都議定書においては、日本が最も重い削減目標を負っていることを理解している。2013年以降の枠組において、国別の削減量を配分するにあたり、公平性を確保することが必要である。エネルギー効率や過去の実績を踏まえて目標を考えることが重要である。どうすれば公平性が確保されるかについて、日本経団連として具体的な案があればぜひ意見を出してほしい。第二に、現在異なるカテゴリーに属している国々(先進国を中心とする附属書1国と途上国中心の非附属書1国)の橋渡しを実現する契機となる。日本はもちろん、米国、中国もセクトラル・アプローチをどう前進させるかを検討することが有意義であるとしている。第三に、政治的な環境を考慮すると、中国、インドなどの途上国が国別目標を課されることに合意することは考えにくいが、途上国に、自ら設定した対策の推進を促し、併せて援助を通じて前進を図ることが重要である」と指摘した。

また、「今後2年間行われるポスト京都の交渉では、産業界の意見がますます重要となる」と産業界に対する期待も述べた。

御手洗会長からの、ポスト京都の国際枠組に関する主要国の考え方に関する質問に対しては、「米国の大統領にだれがなっても気候変動に関する政策は大きく変わる。現在大統領選をリードしている、マケイン、オバマ、クリントンの三氏いずれも、気候変動問題に前向きで、排出量取引制度を支持している。中国は従来、目標設定には反対してきたが、気候変動による影響が国内で顕在化してきており、意識が変わってきている。インドについては、現在のところ、気候変動問題に取り組めば成長が制約されるといったマイナス面しかみていない。しかし、先日シン首相にお会いした際の印象では、彼はエコノミストであり問題をよく理解していた」と応じた。

【産業第三本部環境担当】
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