日本経団連タイムス No.2893 (2008年2月14日)

ストラタン・モルドバ副首相と懇談

−日本企業の投資に期待感示す


日本経団連の安西邦夫日本NIS経済委員長は1月30日、東京・大手町の経団連会館でアレクセイ・ストラタン・モルドバ共和国副首相兼外務欧州統合相と懇談した。

ストラタン副首相は、最も重要な政治課題としてEUへの統合を挙げ、この長期的目標の達成に向けて、国内の政治、経済、社会などあらゆる分野においてさまざまな改革を推進していると述べた。その上でEUとの関係強化とともに、CIS諸国との関係の緊密化を図っており、安全保障分野に関する協力関係の促進の取り組みのほか、経済面での交流が現在の最優先課題であると指摘した。一方、国内的には、政治的安定により経済面で大きな改革が達成されつつあることを強調。EUへの統合に向けた国内の諸改革推進の取り組みは、国民各層にも浸透しているとの認識を示した。

また、日本との関係について、両国間の交流は拡大傾向にあるとはいえ、その余地はまだまだ大きいと指摘。見本市や会議の開催などを通じて、文化・歴史も含めた相互理解を醸成していくことが肝要であるとの認識を示した。その上で、昨年1月から、モルドバに入国する日本人のビザ取得義務を免除していることを紹介、今後、観光・環境・文化・医療など各分野での日本とモルドバの関係構築への協力を求めた。また、これまでの日本からの技術支援等に対して謝意を述べた上で、今後一層の投資の促進を要請。両国の一層の経済発展に資するよう、両国の経済交流がダイナミックに発展していくことに期待を示した。

さらに、現在モルドバのCIS諸国との貿易に対して、関税優遇措置が適用されているが、今年3月からは、CIS諸国の中で唯一、EU諸国向けの輸出にも関税優遇措置が適用されると説明。モルドバに積極的に投資し、合弁企業を設立することで、欧州市場へのアクセス拡大が望めると強調した。また、モルドバ国内に設置が推進されているテクノパーク内に、製品組立工場の建設が積極的に進められていることを紹介、特に急成長しているIT分野における日本との交流拡大が大いに期待できるとの考えを示した。併せて、欧州委員会と共同で、2020年までのエネルギー分野発展戦略を策定したことに触れ、今後同戦略に基づいて、発電所の新規建設やエネルギー源の多様化を推進すべく、具体的な投資が必要であると説明。日本企業のモルドバへの進出に期待を示した。

EU加盟への見通しについてストラタン副首相は、具体的な時期は示さず、政治的・制度的基盤を整え、必要な改革を十分に達成した上で実現したいと表明。EUへの統合により生み出される恩恵を国民が実感できるようなものとすることをめざすとともに、自国のアイデンティティーを尊重しつつ、EUへの統合を達成していく必要があるとの考えを示した。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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