日本経団連は12月12日、東京・大手町の経団連会館において、国土交通省の幹部を招き、運輸・流通委員会を開催した。
当日の委員会は、日本経団連側から渡文明副会長、亀井淳運輸・流通委員会共同委員長をはじめ、石油精製・元売業界、輸送業界、荷主の各団体・関係企業の担当者約90名が出席し、亀井共同委員長を座長として行われた。
まず、行政の立場から、国土交通省の春田謙国土交通審議官が、「物流をめぐる当面の課題」と題して、国土交通省全体としての取り組みの概要を説明。続いて、榊正剛総合政策局長、本田勝自動車交通局長、春成誠海事局長、伊藤茂政策統括官から、担当各分野における現状と当局の取り組み状況について説明があった。説明の概要は次のとおり。
近時の原油価格高騰は例をみないものであり、自助努力だけでは対応が困難である。特に中小企業が多いトラック、内航海運業界においては、適切なコスト分担について荷主側の理解が不可欠なのでご配慮いただきたい。
東アジア・シームレス物流圏について、日本経団連の提言も踏まえ積極的に取り組んでいく。
グリーン物流の推進について、CO2排出削減に向け、荷主企業と物流事業者との緊密な連携が重要であり、日本経団連にもさらなる協力をお願いしたい。
国土交通省からの説明終了後、トラック事業における燃料費の上昇に伴う運賃協議において取引の適正を確保することを緊急に協力要請する旨の、冬柴鐵三国土交通大臣名の文書が春田審議官から渡副会長に手渡された。
その後の意見交換では、渡副会長から、「運賃の交渉は、あくまでもビジネス上の取引として、輸送事業者と荷主の間で個別に話し合って決められるもので、日本経団連が指図することはできない。しかしながら、燃料価格高騰の影響は、輸送業界のみならず、原油を使っている多くの業界に広がりを見せている。荷主・輸送事業者の双方が十分な話し合いの場を持ち、運賃を決定していくことが重要である。原油価格は堅調な石油需要、投機資金の流入を背景に、今後も高水準で推移するものと見込まれ、新しい価格体系に移行した上で、国民全体で原油価格高騰によるコストアップ分を負担していくべきである。また、下請・荷主の適正取引ガイドラインの策定も急がれるところであり、日本経団連としても協力していきたい」と発言した。
最後に、亀井共同委員長が「最近の物流をめぐる環境は目まぐるしく変化しており、グリーン物流パートナーシップ、安全運行への取り組み、原油価格高騰への対応など緊急かつ重要な課題が山積している。本日は、こうした問題について参加者の理解を深めることができた」と締めくくった。