日本経団連タイムス No.2887-06

日本経団連は１２月１８日、「サブサハラ・アフリカの開発に関する意見」を発表した。２００８年は、わが国において５月にアフリカ開発会議（ＴＩＣＡＤⅣ）、７月にＧ８サミット（主要国首脳会議）が開催され、アフリカ開発の問題が議論されることになる。一方、昨今の資源・エネルギー価格の高騰により、石油・鉱物資源の供給源としてのアフリカに対し、内外からの注目が高まっている。

こうした状況を受け、日本経団連では昨年１０月に、サブサハラ地域委員会企画部会のメンバーを中心とする、５０名の実務家からなる経済調査ミッションを、アンゴラ、南アフリカに派遣した。

南アフリカは、サブサハラ・アフリカ経済の中心的存在であり、情報機器や自動車などのわが国産業にとって重要な希少金属や、鉄鉱石、金などの資源が豊富である。アンゴラについては、０２年まで内戦が続いていた国であり、基幹インフラがダメージを受けるとともに、数多くの地雷が敷設されている国であるが、石油や天然ガスなど、豊富な天然資源に恵まれ、昨今、経済成長が著しく、諸外国がさまざまなかたちで接近を試みている注目国である。

今回の「意見」は、こうした２ヵ国へのミッションで得た調査結果をベースに、わが国国際協力の制度上の問題点も念頭に置きながらまとめられたもの。

「意見」では、（１）アフリカにおける円借款の対象国を拡大すること、加えて円借款自体をより迅速に実施すること（２）アフリカについては、ＯＤＡによるインフラ整備の後、民間が投資するといったアジアなどで経験してきたケースとは逆に、むしろ民間案件をＯＤＡで後押しするような考え方に立つこと（３）現行の無償資金協力の制度があまりに硬直的で民間企業が過度なリスクを負わされるものとなっていることから制度の弾力化を図ること（４）アフリカにおいても、わが国が重視している産業分野の人材育成に努めること（５）日本の先端技術や経験・ノウハウを活かした支援を展開すること（６）ＯＤＡのみならず政府関係各機関の機能を総合的・有機的に連携させること。さらに、民間のアフリカ支援を促すため、従来と比して官の側がより前面に出ることによって、主導的役割を果たすこと――を強調している。

世界有数の地雷敷設国といわれるアンゴラに対しては、地雷除去の面で日本の優れた技術が大いに貢献し得る。「意見」の中では、地雷除去機の供与から病院や学校等のコミュニティー復興、インフラの整備までを、ＮＧＯの参加も含め、官民の連携によってパッケージで支援する手法を「日本らしい」援助と位置付けた上で、まずはアンゴラをこうした総合的支援のモデル国とすべきであるということも提案している。

日本経団連では、今後もアフリカの開発問題について関係委員会を中心に議論を深めていく考えだ。

「サブサハラ・アフリカの開発に関する意見」を発表

－円借款対象国拡大など／わが国国際協力の制度上の問題点も念頭に提言