日本経団連タイムス No.2886 (2007年12月13日)

農政問題委員会食の産業部会を開催

−「農商工連携」促進等による地域経済活性化への取組


日本経団連は11月30日、東京・大手町の経団連会館で農政問題委員会食の産業部会(西野伊史部会長)を開催した。当日は、農林水産省大臣官房企画評価課の末松広行課長をはじめとする農水省担当課長から、農水省と経済産業省の両省が発表した「農林水産業と商業・工業等の産業間での連携(『農商工連携』)促進等による地域経済活性化のための取組について」の具体的な取組について説明を受けるとともに、意見交換を行った。

農水省担当課長から説明を受け、意見交換

冒頭、農水省は、同取組を推進する背景として都市と地方の格差といわれる状況が顕在化している中、地域経済の基盤である農林水産業および中小企業を中心とする地方の商工業を中心に地域社会の維持・振興を図っていくことが必要な状況であること、また一方で、自然や景観に親しみたいという国民ニーズの高まりや二地域居住に対する希望の増加といった動きがみられることを説明した。

その上で、農商工連携推進のための具体的な取組としては、(1)地域産品に関する販売促進・新商品開発の支援(2)IT等の導入による地域産業におけるイノベーションの促進(3)地域に埋もれている資源の活用や産学官の連携の強化等による地域における知的財産の「創造・保護・活用」のさらなる促進(4)農業関連施策と中小企業関連施策の連携など両省施策の相互活用の推進(5)地域産品の輸出促進――の五つの取組が柱となっていると指摘した。そして、これらの取組を推進するため、「農商工連携88選(農商工連携により地域の活性化に取り組んでいる事例を全国で88カ所選定)」の作成や大臣による海外でのトップセールスなどPR活動を積極的に展開するとともに、税制や金融など法制度面からの支援も予定されていると述べた。

また、農林水産品の輸出促進や食料産業クラスター展開事業、産官学連携推進のための研究資金等、前記の取組を具体的に展開するための個々の施策を紹介するとともに、出席した委員に対して、ビジネスの現場を踏まえたアドバイスや各事業への積極的な参画を求めた。

委員との意見交換においては、複数の委員から、「農商工連携促進に向けて、このようにさまざまな施策・支援が用意されているとは知らなかった」という意見が出され、農水省に対して、メディア等を通じた同取組のPRの強化を要望した。また、「本日の説明を聞いて、ヒントを得られた。社に持ち帰って、何ができるか検討したい」という意見も複数出され、農商工連携の拡大・深化への期待が示された。

日本経団連としては、農業界と産業界との連携強化は国内農業の体質強化につながるとも期待されることから、同取組に積極的に協力していきたい考えである。

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当日の農水省の配布資料を希望される方は、日本経団連産業第一本部産業基盤担当(電話=大代表03‐5204‐1500)まで連絡されたい。

【産業第一本部産業基盤担当】
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