日本経団連は11月14日、温暖化対策環境自主行動計画の2007年度フォローアップ結果を取りまとめ発表した。日本経団連では、1997年7月、京都議定書の採択に先立ち策定した「環境自主行動計画」により、「2008年度〜2012年度の平均における産業およびエネルギー転換部門からのCO2排出量を、1990年度レベル以下に抑制するよう努力する」ことを統一目標に掲げ、産業界の温暖化対策を進めるとともに、毎年そのフォローアップを実施している。10回目となる今回のフォローアップは、計画に参加する業種からの06年度のCO2排出量実績や取り組み状況等を調査したもので、概要は次のとおり。
産業・エネルギー転換部門(35業種)からのCO2排出量は、基準となる90年度で5億1203万トンである。これは、同年度の日本全体のCO2排出量の約45%、産業・エネルギー転換部門全体の排出量の約84%に相当する。
06年度のCO2排出量合計は5億458万トンで、90年度比1.5%減少(前年度比では0.2%減少)となり、2000年度から7年連続で目標をクリアした。
なお、一部の原子力発電所の長期停止に伴う電力のCO2排出原単位悪化による影響を除くと、90年度比で3.5%減の4億9440万トンと試算される。
35業種からの06年度のCO2排出量が、90年度比1.5%減となった要因は、生産活動量が約14%増加したにもかかわらず、活動量当たりの排出量が大幅に改善したためで、各業種・企業による省エネ対策が大きな効果を上げたといえる。
今回、産業・エネルギー転換部門の17業種、民生業務部門の2業種、運輸部門の4業種が目標水準の引き上げを行った。
産業・エネルギー転換部門の排出量の約9割を占める主要7業種の見通しをもとに、35業種からの08年度〜12年度の平均CO2排出量を試算したところ、90年度対比で2.9%減となり、今後、温暖化対策が順調に進めば「90年度レベル以下」という全体目標は十分に達成可能といえる。
日本全体のCO2排出量の動きをみると、90年度比で民生業務部門からの排出量が大幅に増加しており、自主行動計画においても、これらの部門での取り組みが強化されている。民生業務部門13団体・企業、運輸部門13団体・企業がそれぞれ目標を定めて温暖化対策に取り組むとともに、多くの参加業種において、オフィスの省エネや物流効率化などの面で多様な取り組みが進められている。
日本の企業が持つ優れた技術等の海外移転を進め、地球規模での温暖化防止に貢献することは重要である。
海外での削減量を日本の京都議定書での約束達成に活用できるクリーン開発メカニズム(CDM)等は、自主行動計画の目標達成を補完する手段として位置付けられており、今回の調査でも、世界各地での事例が多数報告された。
05年4月に閣議決定した政府の「京都議定書目標達成計画」において、「自主行動計画は産業・エネルギー転換部門の対策の中心的役割を果たすもの」と位置付けられている。
日本経団連としては、今後とも「90年度レベル以下に抑制する」という全体目標の達成に努めるとともに、民生業務部門等での具体的な取り組みとして、(1)省エネ製品・サービスの開発・普及(2)企業における本社等オフィスビルの省エネ活動に関する数値目標の設定や目標水準の引き上げ――などを進めることとしている。