日本経団連の関連組織である経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は10月23日、インターネットで調査可能な全国の社会広聴会員(2991人)を対象に行った「経済連携協定(EPA)に関するアンケート」調査結果を取りまとめた。同調査は、生活者が日本と諸外国・地域との関係をどのような方向にすべきと考えているか、さらに、より具体的にEPAへの関心や今後、外交上重要となってくる諸外国・地域などについて調査したもので、有効回答数は2065人(有効回答率69・0%)。
調査結果の概要は次のとおり。
日本として関係を強化していくべきと考える国・地域(複数回答)は、ASEAN(62%)、EU(43%)、中国(42%)、米国(32%)、インド(24%)、韓国(20%)、豪州(15%)、湾岸協力会議(GCC)(14%)となっている。
日本として関係を強化していくべきと考える国・地域としての理由(複数回答)は、ASEAN、中国、インドでは、「将来、経済発展が見込まれる国・地域だから」の回答が最も多い。それにより「貿易の重要な国・地域だから」と「直接投資の重要な国・地域だから」がそれぞれの国・地域で上位を占めている。米国、EUでは、「貿易の重要な国・地域だから」の回答が最も多い。続いて「政治・安全保障上重要あるいは重要になっていく国・地域だから」の回答が多い。韓国は「地理的に近い国・地域だから」の回答が80%に達している。豪州は食料や資源・エネルギーの供給国の項目が重視されている。GCCは産油国を多く含む地域であることから、「資源・エネルギーの供給国・地域だから」の回答が90%と最も多い。
EPAを「内容を知っている(よく/ある程度)」の23%と「名前だけは知っている」の31%を合わせると54%と、半数をやや上回る程度であるが、日本が諸外国・地域との間でEPA締結を推進することに「賛成(賛成/どちらかといえば)」が74%となり、諸外国・地域とのEPA締結に積極的である。
男女別にみると、「賛成(賛成/どちらかといえば)」との回答は、男性83%、女性66%で17ポイントの差となっている。
日本が諸外国・地域との間でEPAを締結することに賛成する理由(複数回答)は、「日本企業の海外事業展開が容易になり、経済の発展につながるから」(55%)、「日本の資源・エネルギーの安定供給の確保に寄与するから」(40%)、「日本からの商品・サービスの輸出が拡大するから」(38%)となっている。経済発展への寄与、双方のメリットの拡大、食料・資源・エネルギーの安定供給、安全保障上などの経済的な問題とそれ以外のさまざまな意見がある。
一方、日本が諸外国・地域との間でEPAを締結することに反対する理由(複数回答)は、「問題のある商品・サービスが輸入される恐れがあるから」(52%)、「競争の激化によって国内産業が打撃を被るから」(49%)となっている。
日本がEUや米国とEPAを締結することについて、「賛成(賛成/どちらかといえば)」がEU76%、米国62%となっている。
日本がEU、米国以外の国・地域とEPAを締結することについて、具体的な国・地域を挙げて賛否を回答した生活者は23%で、その国・地域の内訳は、中国(7%)、ASEAN(4%)、インド(3%)、豪州(3%)、韓国(2%)、ロシア(1%)となっている。
EPAの締結を推進するに当たっての日本の第一の課題は、「官民一体の取り組みの推進(民間の意見を、より取り入れやすくする仕組みの確立)」(34%)、「競争力のある農業とすべく農業分野の改革の推進」(28%)、「外国人材の受け入れ拡大のための仕組みの整備」(19%)となっている。
同調査結果の詳細は、経済広報センター国内広報部(電話03‐3201‐1412)まで。