日本経団連の防災に関する委員会(數土文夫共同委員長、木村惠司共同委員長)では、10月22日に、「防災に関する委員会アンケート調査結果概要」 <PDF> を公表した。
この調査結果によると、(1)ほとんどの企業において、社内の災害対策組織や緊急連絡網、対応マニュアルの整備等の対策が進んでいること(2)これに対して、防災力の強化に向けた地域社会との協力は比較的遅れており、自社での取り組みを地域社会での取り組みにつなげていくことが今後の課題であること――が判明した。
このアンケート調査は、今年5月から6月にかけて、防災に関する委員会加盟の315企業・団体を対象に、企業の地震対策の進展状況や業界団体の防災関連の活動状況等について調べるために実施したもので、190社・15団体から回答を得た(回答率65.1%)。
アンケート結果をみると、まず、社内の地震対策については、9割以上の企業が常設・非常設あるいは双方の災害対策組織を整備し、9割の企業が緊急時連絡先・連絡網・連絡手段を用意している。9割の企業が何らかの地震対策マニュアルを整備しており、携帯型マニュアル(カード等)を作成し全社員に配っていると回答した企業も5割存在した。5割以上の企業が食料等の緊急物資を3日分以上備蓄し、自社施設のテナントの職員や施設を利用中の顧客、近隣住民等への一部配布も想定して多めに備蓄している企業も1割あった。また、8割の企業が事業継続に必要な電子情報のバックアップを保管していた。
一方、地方防災力の強化に対する協力という観点では、事業所所在地の防災関連ネットワークに参画している企業が3割、地方自治体と協力協定を結んでいる企業が3割など、自社での取り組みと比較すると対策が進んでいなかった。
こうした結果から、今後は、自社の防災への取り組みの実効性をさらに高めていくことと並行して、企業が立地する地域社会全体の防災力を高めていくために、企業も協力していくことが今後の課題であると考えられる。
委員会では、こうしたアンケート調査結果を踏まえ、さまざまな災害対策について幅広く検討するとともに、会員企業の関心が高く、わが国経済への影響も大きい首都直下型地震についてケーススタディーを実施し、企業の防災対策の実効性の向上と地域社会全体の防災力向上のための方策について検討を行っていく予定である。
「防災に関する委員会アンケート調査結果概要」
URL=http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/083.pdf