日本経団連タイムス No.2884 (2007年11月22日)

中国国家工商行政管理総局・李東生副局長との懇談会開催

−中国における商標保護など説明聴く


日本経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で、中国国家工商行政管理総局(SAIC)の李東生副局長との懇談会を開催した。

懇談の冒頭、あいさつを行った野間口有知的財産委員長は、「わが国を希望にあふれた豊かな社会にしていく上では、絶え間ないイノベーションの創出が不可欠であり、そのためには知的財産権の保護が重要と考えている。中国においても政府が中心となって知的財産権の保護に積極的に取り組んでおり、また、日中協力の成果も着実に上がっていると聞いている。日中両国のイノベーティブな企業のさらなる発展を促すため、知的財産の分野においてどのような環境整備が必要なのか、本日の懇談を通じて認識を深めたい」と述べた。

■ 中国における商標保護

続いて、李副局長からSAICの紹介とともに、商標保護の具体的な取り組みなどについて次のとおり説明があった。

中国国内では市場の監督・管理を所掌するSAICが中心となって商標に関する問題への対応を行っており、全国規模で商標法の執行に当たっている。

中国商標法は1982年に制定され、以後、数次の改正によって、WTOのTRIPS協定をはじめとする国際条約にも対応する水準となった。さらに商標法とは別に最高人民検察院から「司法解釈」が公布されており、法運用の指針として重要な役割を担っている。

また、近年、中国政府は「地理的表示」の保護に取り組んでおり、登録された各地域の地理的表示を保護することによって、農業の発展や農業従事者の所得の増加、消費者の信頼性の向上に役立っている。

■ 商標保護の執行体制

中国における商標保護は、「行政手段」と「司法手段」の二本立てによる救済を特徴としている。

行政手段については、SAICが侵害品の没収や罰金の徴収などを行っており、司法手段については、最高人民法院が賠償請求の処理などを行っている。侵害品の差し止めなど緊急的な措置が必要な場合には行政手段を、また、賠償金を求める場合には、司法手段を利用してもらいたい。

外国企業の商標に対する権利侵害は、2001年から06年の間に約2万6200件発生した。中国政府は呉儀副首相のリーダーシップの下、国内外の商標を平等に保護する方針を打ち出しており、保護のための特別行動を実施するとともに、外国企業の著名商標を登録し、保護を行っている。現在、SAICに登録されている61件の外国企業の著名商標のうち、日本企業のものが10件、米国企業のものは25件となっている。

また、来年、北京で開催されるオリンピックが近づくにつれて、オリンピックマーク等の権利侵害事件が増加しており、SAICでは、来年12月までの「保護プラン」を策定し、権利保護のための活動を展開している。

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最後に、李副局長は、「官民合同ミッションの派遣など、日本産業界のこれまでの協力を高く評価している。知的財産権の保護に向けて今後も両国間の協力関係を強化していきたい」と発言し、日中のさらなる連携強化に向けた期待を表明した。

【産業第二本部開発担当】
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