日本経団連(御手洗冨士夫会長)は12日に、2007年の政党の政策評価を取りまとめ、中村邦夫副会長、大橋光夫政治対策委員長が、東京・大手町の経団連会館で発表記者会見を行った。同政策評価は、例年どおり、政党の政策評価に基づく企業・団体の自発的な政治寄付を促進する活動の一環として行われたものである。評価の対象は自由民主党と民主党の2党。
発表記者会見の冒頭、中村副会長は、今回の政策評価は、06年10月から07年10月末までを対象としており、安倍内閣の発足、参院選での民主党躍進、福田内閣の誕生といった政治的に変化の激しい期間だったが、この間、政党とさまざまな政策対話を重ねながら、日本経団連の優先政策事項に照らして、政党の政策を評価したと説明。また、ねじれ国会の状況を加味することによって、今後1年間の政治寄付の参考材料として、より適切な資料となったと述べた。
続いて、大橋委員長から、評価結果の概要について説明があった。自民党、民主党の評価のポイントは次のとおり。
自民党の政策は、日本経団連の優先政策事項の方向性とほぼ一致しており、国民投票法の制定や教育基本法の改正などを政治主導で実現したことは重要な成果である。
また、経済連携協定の締結のスピードも上がっており、道州制の導入といった新しいテーマへの積極的な取り組みも見られる。ただし、世界的な潮流となっている法人実効税率の引き下げなどが見送られたことは、今後の対応に課題を残したものと考えている。参院選後は、地方や国民生活への配慮をより重視する姿勢を示しているが、今後、具体的な構造改革とどのように両立させていくのか、ねじれ国会という状況下でどのように政策を前に進めていくかは大きな課題であり、注視していく。
民主党の政策は、科学技術や教育など、日本経団連の優先政策事項の方向とほぼ一致する分野もあるが、雇用・就労などでは日本経団連の考え方と反する政策を推進しており、方向性が一致していない。今年夏の参院選の公約では、農業の戸別所得補償を含め、15.3兆円の新規支出を伴う諸施策を打ち出したが、財源や実現への道筋は必ずしも明確になっていないという問題がある。民主党は、政府・与党との政策協議に応じない姿勢を示していたが、参院第一党の責任政党として、政府・与党と建設的に政策を協議し、改革を進めていくことを強く期待している。
今後、日本経団連では、会員企業に対して、政策評価を参考に、企業の重要な社会貢献として、積極的に政治寄付を実施するよう呼び掛けていく。同時に政党に対しては、(1)民間の寄付を政策立案・推進能力の強化に充当すること(2)政治資金の効率化と透明性の向上に努めること――を改めて要望する。特に、透明性の向上は、政治への信頼を確保する上で不可欠であり、現在、与野党間で議論されている政治資金規正法の改正について、実効性ある具体策を早急に国民に提示し、実現させることを求めていく。