日本経団連は7月4日、東京・大手町の経団連会館で常任理事会を開催し、小泉純一郎前内閣総理大臣から、「国際社会に対する我が国の貢献」と題して、アフリカでの感染症などの疾病対策に貢献した医学研究や医療活動を表彰する国際賞である、政府が創設した「野口英世アフリカ賞」の話を聴いた。
今日は、皆さま方に「野口英世アフリカ賞」の募金につきまして、私が、募金委員会の代表世話人を務めており、ご支援を賜れればということで、この場を設けていただきました。
私が昨年、現職の総理大臣としてアフリカを訪問する際、エチオピアの首相とアフリカ連合AU本部で委員長会談するということでエチオピアを選び、もう1つは、ガーナに決めました。野口英世博士が51歳で黄熱病の研究の最中、亡くなったところです。戦前、野口英世博士ほど、アメリカ、ヨーロッパの研究所へ招待され講演をした人はいません。数々の業績を挙げ、ノーベル賞の候補にもなりましたが、受賞はかないませんでした。日本人のほとんどの方は野口博士のことを伝記なり、映画なりでご存じだと思います。
私は、アフリカに向かう政府専用機の中で、不思議と野口博士の声が聞こえてくるような気がしたんです。「よく来てくれたな」と嬉しそうな声で。そのときふと考えたのは、日本も病や貧困に悩んでいるアフリカの人々に何かしてあげるべきだと。そして考えたのが、「野口英世アフリカ賞」です。
野口博士が、50歳になって、昭和2年にガーナに渡り、1年足らずで自ら黄熱病で亡くなったわけですが、アフリカにまで渡り、黄熱病の研究に取り組んだ情熱たるや、使命感は、尋常ではない。その野口博士の研究室はガーナに今も残っています。
この賞は、アフリカの病の撲滅に努力している人、医療活動に従事している人に対象を絞って、ノーベル賞級の資金を授与しようと、ノーベル賞に匹敵する1億円の賞金を、医学研究者、医療従事者に、5年に1度与えようというものです。アジア人でも、ヨーロッパ人でも、アメリカ人でも、日本人でも、人種は問いません。アフリカの医療、病気に取り組んでいる人を対象にしようという賞であります。
日本は5年に1度、アフリカ開発会議(TICAD)を開催しています。
来年は4回目で、横浜で開催しますが、この会議にはアフリカの大統領、首相が来日します。そのTICADの席で第1回の「野口英世アフリカ賞」授賞式をやろうと。また来年5月は、野口博士が亡くなって80周年の節目にも当たります。私は、日本としてもアフリカに対して進んで取り組む姿勢を示すことができると思います。総理大臣の5年5カ月の退職金は、全部、この「野口英世アフリカ賞」に寄附しました。
募金は1口千円です。なぜ1口千円かというと、千円札の肖像画が野口英世だからです。政府だけでなく、財界だけでなく、一般国民にも、小学生にもお年玉から千円なりとも、寄附してくれることを期待しています。多くの国民が野口英世の人生を見て、学んで、何か感じる。それで勇気付けられる。自分も何か努力しようと。そしてその善意がアフリカの病に苦しんでいる人たちを少しでも助けることになることを、どうか皆さま方、ご理解、ご芳志をお願いいたします。
野口英世アフリカ賞への寄附金は独立行政法人国際協力機構(JICA)で取り扱っている。個人は1口千円から、団体は1口10万円から受け付けている。
詳しくはホームページ http://www.kifu.jica.go.jp/ を参照のこと。
〔寄附に関する問い合わせ先〕
独立行政法人国際協力機構(JICA)
フリーダイヤル0800―100―5931(平日10時〜17時)