日本経団連タイムス No.2866 (2007年7月5日)

ダヴィット・アンゴラ共和国産業相と懇談

−ダヴィット産業相、最近のアンゴラ情勢説明/日本企業進出を要請


日本経団連は6月8日、東京・大手町の経団連会館においてアンゴラ共和国のダヴィッド産業大臣との懇談会を開催した。日本経団連からは、坂根正弘サブサハラ地域委員長らが出席した。席上、ダヴィッド大臣は最近のアンゴラ情勢について説明。日本企業のアンゴラへの投資や進出などを要請した。大臣説明の概要は、次のとおり。

アンゴラは「これからの国」であり、日本企業の投資を待っている。アンゴラは日本からは遠い国かもしれないが、われわれは平和を取り戻してからの5年間、さまざまな復興プログラムに取り組んできた。2002年4月の停戦合意により、1975年の独立以来27年間続いた内戦がようやく終結した。軍事活動に従事していた多くの学生も、今は社会復帰を果たしており、再び内乱が起きることはない。

さまざまな不安要素は除去され、治安も良好である。アンゴラは現在08年に総選挙、09年に大統領選挙を実施すべく準備を進めている。また、インフラ整備については、2年間で2000キロメートルに及ぶ道路を建設・補修し、500キロメガワット相当の発電所を増設した。ほかにも、上下水道や港湾、空港の施設整備を行った。

また、1万7000人の教員を新たに養成した。特に小学校教育は大変重要であり、力を入れている。健康・保健面においても改善に向けた対策を講じている。

内戦終結を経て、現在は経済復興の段階にある。アンゴラ経済の発展の可能性は高い。07年の実質GDP成長率は31.2%、06年の1人当たりGDPは1800ドル、失業率も06年は26%になり着実に下がっている。インフレ率も今年は1ケタ台に収まるであろう。これは、政府によるマクロ経済政策が功を奏したためであると認識している。

インフラ整備は、中国やドイツ、スペイン、ポルトガルなどの力を借りて行っており、日本にも参加してもらいたい。アンゴラは、外国投資を受け入れる段階に入った。技術協力や財政の面で支援してほしい。

政府としては今までのような農業重視の姿勢を改めたいと考えている。石油や石油精製が全体の経済活動に占める割合は56.3%(05年)であり、製造業や公共事業の貢献度は低い。これらの分野の貢献度を高める上で、日本企業の力を借りたい。

アンゴラの人口は約1500万人である。われわれは各種のフォーラムを通じて、市場の拡大に努めている。ナミビア、ザンビアなどとフォーラムを開催し、共通のゾーンをつくろうとしており、EUやアメリカなどとも着々と関係を築いている。

日本が一番関心を持つ分野は資源エネルギーであろうが、それ以外にも投資の機会はある。アンゴラには、アルミニウム精錬やLNG、メタニウム、アンモニア、製紙などの工場がある。そのほかにも、鉄鉱石、銅などの鉱山があり、天然資源も豊富である。

われわれは多くのインセンティブを用意して投資を増やしたいと思っている。そのために新たに投資法を制定した。フランス、ポルトガルなどの銀行は既にアンゴラに進出している。日本の金融機関にも進出してほしい。また、外資系企業の利益を自由に送金できるように法律も整備した。

税制上も優遇措置を講じている。アンゴラを3つの地域に分けて、海に近い地域からA、B、Cとし、一定期間、免税措置をとっている。例えば、関税に関してはA、B、Cの地域ごとに、それぞれ3年間、4年間、6年間、またキャピタルゲインに課税はそれぞれ5年間、10年間、15年間、免税期間を設けている。

【国際第二本部中南米・中東・アフリカ担当】
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