日本経団連は、「プロフェッショナルのコアスキルを学ぶ」を総合テーマに、企業の中核人材の育成をめざす「日本経団連グリーンフォーラム」第2期をスタート、5月22日に開講式を都内で開催した。
開講式には、メンバーとなる企業の部課長クラス28名のほか、アドバイザーの関島康雄・3Dラーニング・アソシエイツ代表、大久保幸夫・リクルートワークス研究所所長、および講師の菅野誠二・ボナ・ヴィータ代表取締役と、第1期修了生2名が出席。アドバイザー、講師、修了生のあいさつに続き今期メンバーが自己紹介を行い、参加に当たっての意気込みや抱負などを語った。開講式後に行われた懇親会では、チーフアドバイザーを務める草刈隆郎・日本経団連副会長が、参加者に激励の言葉を贈った。
開講式であいさつした関島アドバイザーは、受講生にまず、グローバルな視点が不可欠であることを示唆。その上で、「自分が持っている問題意識は、自分の会社や属する業種からのものが圧倒的に多く範囲が限定される。他のメンバーの考え方を学ぶことで、問題意識の範囲を広げることが重要」と、仲間から学ぶことの大切さを強調した。同時に、強み、弱みを含め「自分を知る」ことがリーダーシップの源泉であり、自分らしい人生を送ることが職業生活の充実につながると語った。
続いてあいさつした大久保アドバイザーは、心理学者・ユングの「40歳前後は『人生の正午』」という言葉を紹介し、受講生の年代がちょうど入社時に次ぐ、人生の第2の転換期に当たると指摘。この時期に、仕事に向き合う考え方を再構築することで、今後、長期的にやりがい、生きがいを持って仕事ができると述べ、今講座でそのヒントをつかんでほしいと語った。
また、「深く考えること」を意識的に行うことで、単に学ぶだけの知識の“消費者”から、自分の考えを形にして後輩に渡していく、知識の“生産者”になること、そしてその過程で、自分なりの思考スタイルを発見することが重要と説いた。
講師陣を代表してあいさつした菅野講師は、「よいアイデア、アプローチを見つけただけでは会社は動かない。コミュニケーション能力が高くなければ宝の持ち腐れになる」として、正論だけではものごとは通じず、周りを巻き込む力が必要であると述べた。さらに、今後ますます、人を説得し動かすプレゼンテーション能力が重要なスキルの1つとなると強調、共感を呼んで初めて人は動く、と語った。
第1期修了生の小杉桂子・日本郵船企画グループ船隊企画チームチーム長と高橋豊典・オリックス城南支店長は、1年間を振り返り「次世代のリーダーシップとは何かを学ぶめったにないチャンス。講義を受け、仲間とケース・スタディを行うことで、ものごとを“深く考える”ことができるようになる」「自分が何になりたいのか、どのように事業を運営していきたいのかについて、臆することなく高い目標を持つことが重要であることを学んだ。異業種交流の絶好のチャンスでもあり、よい仲間ができた」とアドバイスした。
その後の第2期メンバーの自己紹介では、「スポンジのように、吸収できるものは何でも吸収したい」「他業種のメンバーとの交流が楽しみ」など、グリーンフォーラムへの期待や抱負が述べられた。
開講式後に行われた懇親会であいさつした草刈チーフアドバイザーは、会社をクリエートするのは、一人ひとりの人材であり、今まさに人材育成が重要な時代、と指摘。「中途半端や馴れ合いは一切排除し、また、自社でのポジションも忘れ、ありのままの自分を前面に出して講座に臨んでほしい」と述べた。さらに「講座を受けるたびに視野が広がり、講師や他のメンバーから大いに刺激を受け、成長していくことを期待している」と、メンバーを激励した。
日本経団連グリーンフォーラムは、中核となる社員の育成を望む会員企業の声に応えて、昨年度スタートしたもの。コーチングから戦略マーケティングまで、各界の第一線で活躍する実務家・専門家を講師に迎え、組織や部門をリードできるプロフェッショナルな人材の育成をめざす。第2期は5月22日の開講式を皮切りに来年3月まで、2回の合宿集中講座を含む22講座を実施する。