日本経団連タイムス No.2859 (2007年5月17日)

地方自治体の機能・役割で地域生活者に意識調査実施

−道州制への関心高い/住民選択による独自の行政望む


日本経団連の関連組織である経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は4月20日、「地方自治体の機能・役割に関する意識調査報告書」を発表した。同報告書は、道州制の議論を進める上で、地域の生活者が現在の地方行政のあり方や理想的な行政体制をどのようにイメージしているかを参考にするため、「道州制の意義や関心」「権限や財源移譲のあり方」「都道府県と市町村の重複事務の問題」などについて意識調査を行い、その結果を取りまとめたもの。インターネットで回答可能な社会広聴会員(2154人)を対象に2月に実施、1547人(71.8%)から回答を得た。
調査によると、生活者は、行政が地域の実情に合わせ、地域を活性化していくため、住民選択による独自の行政を望んでおり、道州制への関心が高いこと、また、道州制の下での具体的な区域割や実施目標年などについても、かなり明確に考えつつあることがわかった。一方で、道州制への理解度は男女間、地域間による差異が大きく、今後一層の理解促進活動が必要と指摘している。

調査結果の概要

1.地方自治体の行政活動の評価

現在の地方自治体の行政活動については、「評価できない」が38%で最も多く、「評価できる」の22%を大きく上回っている。評価できない理由としては、「税の無駄遣いが多い」(85%)、「情報開示・透明性が低い」(63%)との意見が多くなっている。

2.国から地方自治体への権限や財源移譲

国から地方自治体に権限や財源を大幅に移譲することについては、「賛成」が63%、「反対」が11%であり、権限や財源の移譲を望むとの回答が6割を超えている。賛成の理由は、「住民自らの選択に基づく独自の行政が展開されるから」(68%)が最も多くなっている。男女別にみると、男性の「賛成」が72%、女性は55%と17ポイントの隔たりがあり、男性は女性より積極的な権限や財源の移譲を望んでいる。

3.道州制への関心と認識

道州制に「関心がある(強い/少し)」との回答は66%となっている。これを男女別にみると、男性が77%、女性が55%となっている。道州制の内容については、「知っている(知っている/ある程度)」が57%となっている。これを男女別にみると、男性が75%、女性が41%となっている。
地方別にみると、「関心がある(強い/少し)」は「北海道」(68%)、「四国地方」(79%)、「九州・沖縄地方」(71%)で全体(66%)を上回っている。一方、道州制の内容を「知っている(知っている/ある程度)」は、「北海道」(72%)、「東北地方」(73%)、「中国地方」(67%)、「四国地方」(79%)、「九州・沖縄地方」(61%)で全体(57%)を大きく上回っている。「関東地方」「近畿地方」「中部地方」を除く地方は、道州制のイメージが比較的明確であり、道州制について知っている生活者が多いと思われる。

4.道州制導入時の地域への権限や財源移譲

道州制の導入により現行市町村が広域再編され、大幅な権限や財源が移譲されることについては、「賛成」が46%、「反対」が20%となっている。賛成の理由としては「地域政策は、広域的に考える必要があるから」が38%と最も多く、一方、反対の理由は、「道州知事や道州議員では、目が届かないことが増え、住民のニーズに即した行政が行えなくなるから」が34%となっている。
また、地方別にみると、今年の4月から道州制特区が実施されている北海道は「賛成」が60%、続いて九州・沖縄地方の「賛成」が58%で全体(46%)を大きく上回り、他の地方より道州制導入への期待が強いようである。

5.道州制の区域割と導入時期

道州制の区域割については、「6〜10程度」が58%で最も多い。導入時期は「10年以内」が65%と、導入までには区域割をはじめとした諸問題の解決に相応の時間を要すると考えていることがわかる。

6.道州制における東京都の扱い

道州制における東京都の扱いについては、「現行のまま東京都を首都とし、独立させて道州には組み込まない」(31%)と、「23区だけを首都特別市とし、都下の市町村は周辺の県が形成する道州に組み入れる」(36%)、「東京都も例外とせず、他の道府県と同様にひとつの道州に組み入れる」(30%)の3つの意見がほぼ同じ回答割合となっている。東京都は、道州に組み込まれないで特別なイメージを持って見られている。
同調査の詳細に関しては、経済広報センター国内広報部(電話03―3201―1412)まで。

Copyright © Nippon Keidanren