日本経団連は15日、「今後の賃金制度における基本的な考え方〜従業員のモチベーションを高める賃金制度の構築に向けて〜」と題する提言を取りまとめ、公表した。
同提言は、今後の賃金制度の望ましい基軸についての基本的な考え方を整理し、その方向性を示したもの。従業員のモチベーション向上や再チャレンジ促進の視点も入れつつ、企業が激変する経営環境に対応するためには、年功型賃金から仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金とすることが望ましいとしている。
既に多くの先進的企業では見直しを行っている一方で、年功型賃金制度や年功的な運用を行っている企業も少なくないことから、改めて問題提起を行ったもの。
一般的に賃金は、「労働の対価」といわれているが、実際には、労働市場における「需給関係」、企業の「支払能力」、従業員の「生計費」などのほか、人材の確保と定着、従業員のモチベーションの維持・向上、労使関係といったさまざまな要素を総合的に勘案の上、決定されている。その結果、日本においては多くの企業が、年功型賃金を採用してきたが、近年の著しい環境変化が生じている中で、長期雇用を維持するためにも、年功型賃金は変容を迫られている。
このような背景を踏まえると、今後の賃金制度においては、年齢や勤続年数に偏重した賃金制度から、従業員のモチベーション向上と再チャレンジ促進に資する「仕事・役割・貢献度を基軸とする賃金制度」とすることが望ましい。
自社に最も適した形で、仕事・役割・貢献度を基軸にした賃金制度の構築に向けた検討がなされるとともに、既に導入している企業においては、よりよい制度とすべく、労使の話し合いのさらなる深化を期待したい。