日本経団連タイムス No.2857 (2007年4月26日)

税制委員会企画部会を開催

−パールマン教授と懇談/日米の税制改革で意見交換


日本経団連は3月29日、東京・大手町の経団連会館で税制委員会企画部会(田中稔三部会長)を開催し、ジョージタウン大学のロナルド・パールマン教授から、レーガン税制や最近の米国の税制改革の動向について説明を受け、意見交換を行った。
今年秋以降に予定される税制抜本改革に向け、日本経団連では、税制委員会企画部会が中心となって有識者との意見交換を続けており、今回の会合はその一環。パールマン教授は、今日の米国の成長の基礎となったレーガン税制改革を財務省で担当した、米国租税学界の重鎮である。パールマン教授の説明の概要は次のとおり。

1.レーガン税制改革

レーガン税制の基本哲学は、税制を中立にすることで経済に対してプラスの貢献をするというものであった。1986年の税制改革では、課税ベースを拡大することによって、大幅に個人や法人の所得税率を引き下げることが可能であることが示された。レーガン税制改革では法人税率を48%から35%まで引き下げた。
今日、米国以外の国々の法人税率の引き下げに伴い、国際的に見て米国の法人税率が高く、米国企業が国際競争力を失っているという指摘がある。法人税率が低ければ、企業の競争力が高まることから、今後とも各国は、法人税率の引き下げ圧力をかけ続けると思う。これが経済活動のためには望ましい環境だと信じている。

2.消費税

米国の巨額の財政赤字を解消するには所得税だけでは対処不可能であり、付加価値税という形での消費税の導入が必要となろう。また、地方税としてほとんどの州でセールスタックスが導入されており、州の歳入の50%を占める大きな税収となっている。連邦レベルの付加価値税の導入に際しては、州付加価値税との調整が中心的な課題となる。

3.国際課税

国際課税で最も関心を集めている課題は移転価格税制である。とりわけ海外への技術移転に伴う移転価格の取り扱いについては留意が必要である。多国籍企業が行う国際取引には内国歳入庁も注目しており、カナダ、豪州、英国と租税回避に関する国際的な情報交換に係る取り決めを結んでいる。

4.今後の税制改革の課題

米国の税制改革をめぐって3つの要因に着目する必要がある。第1が2008年の大統領選挙に向けた政治情勢。第2が巨額の財政赤字。第3が2010年に期限切れを迎える個人所得税を中心とした大規模な減税措置への対応である。政治家は今後、難しいジレンマに向き合うこととなる。

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同部会では引き続き、有識者を招いて意見交換を進めつつ、税制抜本改革の諸課題について、産業界の考え方を取りまとめていく予定である。

【経済第二本部税制・会計担当】
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