日本経団連タイムス No.2855 (2007年4月12日)

退職金・年金実態調査結果を発表

−賃上げ額の退職金算定基礎額へのはね返り/「賃上げ額とは関係なく別建て」過去最高


日本経団連は3月27日、隔年で実施している「退職金・年金に関する実態調査」の2006年9月度の調査結果<PDF>を発表した。それによると、賃上げ額の退職金算定基礎額へのはね返りについて、「賃上げ額とは関係なく別建て」としている企業が過去最高(67.7%)となったほか、2012年3月末に予定されている適格年金廃止への対応では4割弱(38.9%)の企業が「既に対応済み」であることなどが明らかとなった。同調査の概要は次のとおり。

1.標準者退職金―会社都合―(図表1参照)

標準者(学校卒業後直ちに入社し、標準的に昇進・昇格した者)の55歳における退職金(会社都合)は、男性の管理・事務・技術労働者・大学卒では2232万円(前回04年9月度調査2154万円)、同高校卒では2064万円(同1959万円)、生産労働者・高校卒では1856万円(同1853万円)となっている。

標準者退職金の支給額および支給月数の表

2.定年退職者の退職金

標準者が60歳で定年退職した場合の退職金は、男性の管理・事務・技術労働者・大学卒では2490万円(前回2435万円)、同高校卒では2189万円(同2198万円)、生産労働者・高校卒では1934万円(同1987万円)となっている。

3.賃上げ額と退職金算定基礎額との関係(図表2参照)

賃上げ額と退職金算定基礎額との関係の表賃上げ額が退職金算定基礎額にどのようにはね返っているかをみると、「賃上げ額とは関係なく別建て」が6割強(67.7%、前回53.5%)に上り、過去最高を更新した一方、「賃上げ額の一部が基礎額にはね返る」(15.4%、前回26.6%)と「賃上げ額が全額基礎額にはね返る」(14.2%、同15.4%)は減少した。
また、「賃上げ額とは関係なく別建て」と回答した企業のうち、職能等級や勤続年数などを点数に置き換えて退職金を算定する「ポイント方式」が4分の3に当たる75.0%(前回71.3%)を占めた。このほか、賃金表とは別に退職金算定基礎額表を設ける「別テーブル方式」が16.3%(同20.9%)、「定額方式」が3.5%(同7.8%)などとなっている。

4.退職金給付制度の形態

「退職一時金制度と退職年金制度の併用」が74.6%(前回72.3%)で最も多く、次いで、「退職年金制度のみ」が13.1%(同7.1%)、「退職一時金制度のみ」が9.6%(同13.5%)となっている。
退職年金制度の支払い準備形態については、「適格年金」が最も多く45.2%、次いで、「確定給付企業年金(基金型・規約型)」が44.9%、「確定拠出企業年金」が30.4%、「厚生年金基金」が16.3%となっている。
また、確定拠出年金と確定給付年金の両方の特徴を併せ持つ「キャッシュバランスプラン(CBP)」を導入している企業は、CBP類似制度導入企業を含めると24.0%に上っている。

5.適格年金廃止への対応(新規調査)

2012年3月末に予定されている適格年金廃止については、「既に対応済み」が4割弱(38.9%)に上っている。その対応内容では、「確定給付企業年金(基金型・規約型)」(67.2%、複数回答)や「確定拠出企業年金」(32.9%、同)など、「他の制度へ移行済み」との回答がほとんどを占めた。
一方、「まだ対応が済んでいない」企業(61.1%)のうち、「他の制度への移行予定あり」は52.6%、「未定」は45.7%、「制度廃止予定」は1.7%となっている。

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「退職金・年金に関する実態調査」は、退職金・年金の実態と退職金水準の動向を把握し、退職給付制度見直しの際の参考資料として、1973年から隔年で実施しているもの。今回の2006年9月度調査は、日本経団連企業会員と東京経営者協会会員会社2066社を対象に実施、294社から回答を得た(有効回答率14.2%)。

【労政第一本部労政担当】
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