公益信託日本経団連自然保護基金(KNCF)は、3月23日に行った同基金運営委員会において、2007年度の自然保護プロジェクト支援先を決定した。07年度は、申請のあった141件のプロジェクトのうち、最終的に、国内10件、海外49件の59プロジェクトを対象に、総額1億8447万円の支援を行うこととなった。
KNCFは92年の設立以来、アジア・太平洋地域を中心にNGOによって行われている自然保護プロジェクトを支援しており、また01年度からは国内の活動にも支援対象を広げた。これまでの15年間で累計735件、約21億6000万円の支援を行っている。
地域別件数ではアジアが454件(62%)と最も多く、国別にみるとインドネシアや中国、フィリピン、タイの順となっている。
次いで太平洋地域はパプアニューギニア、パラオをはじめ累計46件(6.3%)、アフリカ35件、南米29件となっている。
一方、国内では7年間で97件の支援が行われており、ニホンヤマネやツシマヤマネコなど希少動物の保護、環境教育、里山保全などさまざまな活動を支援している。
07年度の特徴としては、まず06年度、自然保護プロジェクト視察ミッションをケニアに派遣した関係もあり、ケニアをはじめマラウィ、カメルーンなどアフリカ諸国からの申請が増え、ケニアの4件を含めて計5件の支援を決定したことが挙げられる。
またインドについても環境教育プロジェクトを中心にこれまでで最も多い4件のプロジェクトを支援することになった。その他、国際自然保護連合(IUCN)やコンサベーションインターナショナル(CI)などの国際NGOへの支援も増えている。
内容的にはオランウータンやウミガメ、水鳥など希少動植物の保護が15件と多く、次いでタイやバングラデシュ、インドなどの沿岸域でのマングローブ植林、中国内陸部での砂漠化防止のための植林などが選ばれた。また、最近の傾向として、地域の貧困対策と組み合わせ、植林、環境教育などを複合的に行うプロジェクトもみられる。
新規のものとしては、カンボジアでの生態系と風土保全のための環境教育やマラウィにおける環境配慮型地域開発などのプロジェクトが選ばれた。
これらの支援プロジェクトの詳細に関しては、KNCFのホームページ(URL=http://www.keidanren.or.jp/kncf/)等で、公開する予定である。
KNCFは日本経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)が委託者となり、日本経団連会員企業を中心とする法人や、個人から寄付を得て運営しているが、CSRの高まりによる企業の自然・環境保護活動へ関心の高まりや、業績の回復等も相まって、06年度の寄付金は、前年度を上回る見込みとなっている。