日本経団連の行政改革推進委員会(出井伸之委員長、大久保尚武共同委員長)は20日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催、全国知事会道州制特別委員会の委員長を務める石井正弘・岡山県知事から、道州制に関する全国知事会の考え方や今後の検討体制について説明を受け、意見交換を行った。
石井知事は、今年1月18日に全国知事会が発表した「道州制に関する基本的考え方」を中心に説明。冒頭で「成熟社会を迎えた日本では地方分権型の行政システムを確立することが求められている」と指摘し、「道州制は真の分権型社会を実現するためのものであって、国の都合による行財政改革や財政再建の手段であってはならない。また、道州制の議論にかかわらず、引き続き地方分権改革を着実に推進しなければならない」と主張した。
続いて石井知事は、全国知事会の考え方として、「道州制は地方分権を推進するためのものでなければならない」「道州が地域の特性に応じ、自己決定と自己責任の下で政策展開できるよう、国と地方の役割分担に応じた、自主性・自立性の高い地方税財政制度を構築しなければならない」など、7つの道州制の基本原則を紹介、「道州制導入に対して異論がある知事も、これらの基本原則を前提とした道州制ならば導入してもよいとしている」と説明した。
今後、さらに検討を進めるに当たっては、(1)国と地方が一体となった検討機関の設置(2)国民意識の醸成――の2点が必要であると指摘。さらに、具体的な検討課題としては、「国のあり方および国・道州・市町村の役割分担」「税財政制度のあり方」「大都市圏との関係」などの8点を挙げ、特に、一番重要な課題として税財政制度のあり方を指摘し、地方の自主性を確保するために、偏在性が低く安定性を備えた地方税体系を構築する必要があると強調した。
その上で、「全国知事会としては、道州制特別委員会の下に2つのプロジェクトチームを設置して、テーマごとに具体的な検討を行う」と紹介した。
なお、石井知事は、「三位一体改革までの第一期分権改革は未完の改革と認識している」と説明。例えば、三位一体改革では3兆円の税源移譲に対して国庫補助負担金は4兆円以上削減された結果、地方に1兆円以上のしわ寄せがあったことや、多くの項目で国から地方への関与が残っていて地方の裁量性が高まっていないことなどの問題点を指摘した。今後の地方分権改革では、「地方の自主性を高めるために、地方消費税などの偏在性が低い税目を中心に、地方に安定した財源を確保することが重要だ」と述べた。
石井知事の説明に続いて行われた意見交換では、参加者から「現在は小規模な港湾や空港が各県に整備されており、大型のものがないことが問題」との指摘がなされた。
これに対して、石井知事は「今後は、国際競争の中で勝ち抜くために、重点的にインフラを整備しなければいけないと思う」と理解を示し、「道州制の下で、道州が地域全体のメリットを考えて政策を打ち出せば、大きなメリットになる」と指摘した。