日本経団連は3日、都内で「日本経団連キャリア・アドバイザー(NCA)フォローアップ講座」を開催、43名のNCA登録会員が受講した。10回目となる今回は、第1講座「改正男女雇用機会均等法のポイント」と第2講座「企業におけるメンタルへルスの実際」について、それぞれ専門家の講演を聴取した。
第1講座の講師は、経営法曹会議所属弁護士の伊藤昌毅氏(第一協同法律事務所)。伊藤氏は、これまでの男女雇用機会均等法改正の経緯について述べた後、4月1日から施行される今回の改正法について、改正前後の条文を対照させながら、そのポイントを解説した。
特に、今次改正法では、外見上は性中立的な要件でも、省令で限定列挙された3つの要件((1)募集・採用における身長、体重または体力要件(2)コース別雇用管理制度における総合職の募集・採用に当たっての全国転勤要件(3)昇進における転勤経験要件)については、合理性がない場合は「間接差別」として禁止される点を強調。また、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止などについても、改正点を、事例を交えながらわかりやすく解説した。
第2講座は、アドバンテスト産業医の河下太志氏が講師を務めた。河下氏はまず、雇用形態の変化等により、企業におけるメンタルヘルスがますます重要視されてきた背景を説明した後、同社におけるメンタルヘルスケアを含めた健康管理体制と、実際の社員からの相談内容などについて紹介した。
次いで河下氏は、複数のメンタルヘルスケアの事例を取り上げ、それぞれ発症時から、面談、症状の改善、解決に至るまでのプロセスを説明、メンタルヘルスにおいては「本人、上司、産業医など関係者が情報を共有して対応することが重要」と結んだ。
第1・第2講座とも、実際のキャリア・アドバイスの場面において不可欠なテーマを扱っているだけに、受講者は、講師の一言一句に真剣に耳を傾け、質疑応答も活発に行われた。
日本経団連は、従業員の能力開発を支援しようという企業の動きや、個人のキャリア開発への意識の高まりに応えるために、2001年10月にNCA養成講座をスタート。社会・労働事情や企業内の人事制度などに精通した、高度なキャリア・アドバイザーの養成を図ってきた。現在、第9期を終了し、NCA登録会員は262名に上る。
なお、同養成講座は、現在、休講となっており、新たな募集は行っていない。