日本経団連タイムス No.2848 (2007年2月22日)

「日本経団連グリーンフォーラム」2月講座開催

−「人を動かすプレゼンテーション」テーマに講演聴取や実習行う


日本経団連は7日、第1期「日本経団連グリーンフォーラム」の2月講座を開催した。今回は、経営コンサルタントでボナ・ヴィータ代表取締役の菅野誠二氏を講師に迎え、「人を動かすプレゼンテーション」をテーマに講演と実習を行った。菅野氏の講演の概要は次のとおり。

はじめからプレゼンテーションが好きで、上手という人は少なく、そのスキルを上達させるためには、まず、さまざまな思い込みを排除する必要がある。例えば、ロジックをつくって正論第一で理屈付けをしたり、コスト意識を持たず関係者全員を巻き込んだり、結論の提言を最後にもってくる起承転結型の論理構成などは、プレゼンテーションには向いていない。また、情報の盛り込み過ぎや、笑いでつかみを取ろうとするやり方も、だれもが陥りやすい間違った思い込みである。

プレゼンテーションの手順には、大きく分けて3つのステップがある。最初のステップは「ニーズと状況の把握」。プレゼンテーションを行う上で第1に必要なことは、「何のためにやるのか」をはっきりさせ、プレゼンターである自分自身が何をどこまで達成したいのかを明確にすること。そして、聞き手の権利を尊重して、自分のアイデアをその聞き手に論旨明瞭にプレゼントすること。それによって相手の心と体を動かすことが、「人を動かすプレゼンテーション」の目的である。
次に、プレゼンテーションの「内容設計」をするときは、冒頭の部分で「最も言いたい内容」を要約し、完結したメッセージを送り届けることが求められる。その際はピラミッドストラクチャーを用い、結論を生み出す合理的訴求を行うことが必要である。そこで、課題の原因や解決策を導くためにMECE(mutually exclusive collectively exhaustive=重複がなく全体集合として漏れがない)という概念でとらえる必要がある。ピラミッドストラクチャーで描いた、その完結したメッセージは、結論を理由付けし、それを導くいくつかの具体策で構成する。ピラミッドストラクチャーには因果関係型と帰納法型があり、因果関係型はプレゼンターの自然な思考が伝わりやすい反面、結論に対する確信度合いが伝えにくい。帰納法型は全体が明瞭で結論の自信が伝わりやすいが、時に強い口調になりがちとなる。そのため、内容と聞き手によってそれぞれを使い分けることが求められる。
さらに、データと事実をもとにそれに合致したメッセージをつくって比較分析し、そのデータをもとに聞き手が見やすいチャートをつくることも重要な準備となる。そのときは、文字の大きさや色などに注意し、シンプルにまとめることも大切である。
ここまで準備をして「実演」の段階となる。そのとき、プレゼンターには自信と確信を持った主張が不可欠で、聞き手を納得させ、説得することが求められる。プレゼンテーションに当たって内容に自信が持てないときは、もう1度内容を突き詰め、考え抜くこと。自分に自信がないときは、リハーサルを入念に行うことで、その不安を解消するしかない。

実際にプレゼンテーションを行うときは、自然体で立ち、アイコンタクトを確立し、身振り手振りを交え、「気を届ける」ような自然な話し方を心掛けることが最も重要である。

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菅野氏は5日に日本経団連出版から『共感をつかむプレンゼンテーション』を上梓した。同書についての問い合わせは日本経団連事業サービス本部(電話03-5204-1922)まで。

【事業サービス本部研修担当】
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