日本経団連は20日、東京・大手町の経団連会館において理事会を開催し、来賓の山谷えり子内閣総理大臣補佐官から、教育再生に向けた政府の取り組みについて説明を聴いた。
山谷補佐官は、教育再生会議が1月24日に取りまとめた「第1次報告」について説明。第1次報告は、「ゆとり教育の見直し」「安心して学べる規律ある教室の実現」「『社会総がかり』での全国民的な参画」など7つの提言と、「いじめ問題対応」「教員免許更新制の導入」など4つの緊急対応からなる。
山谷補佐官は、「ゆとり教育」の理念は良かったが、結果として昨今の学力低下につながってしまったと指摘。例えば、中学3年間で教える英単語の数は、かつては600語だったが今では100語にまで減少。日本の児童・生徒の英語力は、アジアの中でも最下位クラスにある。こうした現状を踏まえ、第1次報告でゆとり教育の見直しを打ち出したことについて、国民の7〜8割が支持していると説明した。
第1次報告の中で、例えば教員免許更新制の導入や教育委員会改革など法改正を必要とするものについては、安倍総理の指示により、今国会への法案提出をめざして、中央教育審議会で現在精力的に議論が進められているとのこと。補佐官は、危機的状況にあるわが国公教育の再生には、社会総がかりでの取り組みが必要であると述べ、ワーク・ライフ・バランスの実現や有害情報対策などの面で、経済界の理解・協力を求めた。
山谷補佐官の説明を受けて、御手洗冨士夫会長は、テレビ番組のスポンサー契約を結ぶ際には、有害情報の社会への氾濫を防ぐよう配慮するなど、有害情報対策を講じたり、従業員がワーク・ライフ・バランスを図れるよう諸制度を見直し、多様な働き方を推進しながら従業員が育児や学校教育に積極的に参画できる機会を設けるよう、会員企業に対して呼び掛けた。