日本経団連は16日、第50回福利厚生費調査(2005年度)の集計結果の概要を発表した。これによると、法定福利費、法定外福利費がともに増加し、企業が負担した福利厚生費が7年連続で過去最高を更新したことなどが明らかとなった。同調査結果の概要は次のとおり。
企業が負担した福利厚生費は、従業員1人1カ月平均10万3722円(前年度比1.3%増)と3年連続で10万円台となった。そのうち、社会保険料等の企業拠出分である「法定福利費」は7万5436円(同1.8%増)、企業が任意に行う福祉施策に要する費用である「法定外福利費」は2万8286円(同0・1%増)となった。
法定福利費の増加は、月例給与と賞与・一時金を含めた現金給与総額(58万3386円)の伸び(前年度比0.9%増)と厚生年金保険料率、雇用保険料率の改定に伴うものである。なお、法定福利費も過去最高額となっている。
現金給与総額に対する比率は、福利厚生費全体で17.8%(前年度比0.1ポイント増)となり、そのうち法定福利費は12.9%(同0.1ポイント増)、法定外福利費は4.8%(同0.1ポイント減)である。
法定外福利費は全体では微増となっているが、項目別にみると、「医療・健康」「共済会」が増加し、「住宅関連」「ライフサポート」「慶弔関係」「文化・体育・レク」「福利厚生代行サービス」では減少した。法定外福利費のおよそ半分を占める住宅関連費用の減少を医療・健康費用の伸びが相殺する形となった。
退職金(退職一時金と退職年金の合計額)は、従業員1人1カ月平均8万1685円、前年度比1.5%増となった。現金給与総額に対する退職金の比率も14.0%(前年度13.9%)と、その割合は上昇した。
図表は1970年度の現金給与総額、法定福利費、法定外福利費、退職金それぞれの額を100としたときの推移を表したものである。法定外福利費は現金給与総額とほぼ同じ伸びを示しているものの、法定福利費と退職金は、現金給与総額の伸びを大幅に上回っており、総額人件費の観点から、企業にとって重要な要素となっていることがわかる。
日本経団連福利厚生費調査は、1955年度から毎年実施し、今回で50回目。半世紀にわたる企業の福利厚生費の動向を把握できる日本において唯一、毎年実施している福利厚生費の調査である。同調査は、法定福利費、法定外福利費の各項目について企業の年間負担総額を年間延べ従業員数で除した1人1カ月当たりの平均値(加重平均)を産業別、規模別に算出したものである。回答企業数は645社。