日本経団連の御手洗冨士夫会長は12月25日、東京・大手町の経団連会館で2006年最後となる記者会見を行った。
06年経済の回顧と金融政策運営について御手洗会長は、ゼロ金利政策が解除されたこと、景気拡張期間が「いざなぎ景気」超えを達成したこと、消費者物価指数もプラスで推移していることに言及、06年は景気回復をかなり実感できる年であったとの認識を示した。一方で、デフレの気配はなくなりつつあるが、日銀には、引き続き慎重な金融政策運営が望まれると語った。
07年の経済見通しについては、国内においては政府の構造改革・規制改革、企業の経営努力が不断に行われていることに加え、海外でも世界中で好景気が続いている中、米国経済も07年春先には回復に向かう見通しであることから、実質2%程度の成長が達成可能であるとの展望を示した。
企業から家計への所得移転について御手洗会長は、景気回復が続き、企業業績も好調なことから、少しずつではあるが進んでいるとの認識を示した上で、一例として06年夏・冬のボーナスが2年連続で過去最高を記録したことを挙げた。また、労働分配率が低水準であるとの指摘については、労働分配率は景気動向にやや遅れた動きとなることに留意すべきであると語った。
07年の春季労使交渉の争点については、もはや横並びで賃金水準を底上げする市場横断的なベースアップはあり得ないとの認識を示した上で、賃金水準をどのように設定するかは、あくまでも個別企業の労使協議によると強調した。