日本経団連タイムス No.2834 (2006年10月19日)

改正均等法に関わる省令・指針が告示

−解説書籍発行やセミナー開催/日本経団連、改正法の周知図る


労働政策審議会雇用均等分科会が10日開催され、改正男女雇用機会均等法に関わる省令・指針案が一部修正の上、答申され翌日、同省令・指針は告示された。改正均等法は来年4月1日施行に向けて周知期間に入る。
改正された省令・指針は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則」「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(性差別指針)「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(セクハラ指針)の3つ。
省令では、法律より委任された事項が規定され、指針では、事業主が改正法に基づいて講ずべき措置などが例示を交えながら明らかにされている。

■改正均等法の概要

  1. 女性に対する差別を禁止している規定については、男女双方に対する差別を禁止する規定とする。
  2. 募集・採用、配置・昇進・教育訓練、一定の福利厚生、定年・解雇に加えて降格、職種・雇用形態の変更、退職勧奨、雇止めについても、性別を理由とした差別禁止の対象とする。また配置の中には業務の配分、権限の付与が含まれるものとする。
  3. 外見上は性中立的な要件でも、省令で定める3つの要件については、業務遂行上の必要などの合理性がない場合には、間接差別として禁止する。
  4. 妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益取り扱いを禁止する。さらに妊娠中・産後1年以内に解雇された場合、事業主が妊娠・出産等を理由とする解雇でないことを証明しない限り解雇を無効とする。
  5. ポジティブ・アクションを行っている企業がその取り組み状況を外部に開示する際、国の支援が受けられるようにする。
  6. セクシュアルハラスメントにかかわる事業主の配慮義務規定が措置義務規定となり、男性もその措置義務の対象とする。
  7. セクシュアルハラスメント、母性健康管理措置を調停および企業名公表の対象とする。さらに均等法に関する事項について報告を求めたにもかかわらず、報告しないまたは虚偽の報告をした場合は過料に処す。

■省令・指針の概要

省令では間接差別に関する3つの要件などが規定されている。3つの要件とは、(1)募集・採用における身長・体重・体力要件(2)総合職の募集・採用における全国転勤要件(3)昇進における転勤経験要件。
性差別指針では、前記3要件を課す場合の合理性の有無が示されている。

(例)「全国転勤要件の合理性がないとされる場合」=広域にわたり展開する支店、支社等がなく、かつ、支店、支社等を広域にわたり展開する計画等もない場合。

セクハラ指針は、旧指針に比べ、事後措置の対応が詳しく記述されている。
なお、女性の坑内労働の規制緩和に関する労働基準法、女性労働基準規則の改正も併せて行われている。

日本経団連としては、改正法の周知を図るために、解説書籍を11月末に発行、併せてセミナーを12月初旬に開催する予定。

【労政第二本部労働法制担当】
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