日本経団連タイムス No.2832 (2006年10月5日)

第11回日中産業シンポジウム開催

−「環境保全と省エネルギーについての日中企業の協力」をテーマに意見交換


日本経団連は9月25日、中国・山東省青島市において、中国企業連合会(陳錦華会長)と共催で、「第11回日中産業シンポジウム」を開催した。同シンポジウムは、日中両国の経営者の相互理解促進を目的に、毎年、両国で交互に開催しているもので、今回は「環境保全と省エネルギーについての日中企業の協力」がテーマ。日本経団連の立石信雄・国際労働委員長はじめ、田中達郎・中国委員会企画部会長、河野正樹・同和鉱業代表取締役、山本一元・旭化成常任相談役ら両国企業の代表者など約180名が参加した。環境・省エネルギーについて大きな課題を抱えている中国と、これらの課題を克服してきた経験と先進技術を持つ日本は補完関係にあり、新たにこの分野で両国が協力していくことの重要性を確認した。

冒頭のあいさつで中国企業連合会の張彦寧常務副会長は、現在中国では環境・省エネルギー対策が大きな課題となっており、エネルギー多消費型産業中心の産業構造からの転換が必要なこと、高い技術とノウハウを持つ日本との協力の可能性が大きいことなどを指摘した。

これを受けてあいさつした立石委員長は、現在両国経済協力関係における大きな潮流として環境・省エネルギーが脚光を浴びつつあり、今回のシンポジウムはその分野での両国企業レベルでの協力の具体的な一歩となること、また環境・省エネルギー分野での企業の役割を考える上では、企業の社会的責任(CSR)の視点が欠かせないことなどを強調した。

続いて、中国国家発展改革委員会と環境保護総局の実務責任者から、第11次5カ年計画における中国の環境・省エネルギー目標についての説明を受けた。現在中国では水質汚染、大気汚染、ごみ量の増大等環境問題が深刻であり、またエネルギー消費の急拡大が経済社会の発展のネックになっていること、同計画では環境重視型・資源節約型社会をめざして明確な数値目標を示し、環境・省エネルギーを地方政府に対する評価体系に組み込んで、監督システムを強化していることなどが説明された。
この後、田中企画部会長から、温暖化と廃棄物対策を柱とする日本経団連の「環境自主行動計画」の概要や、国連環境計画ファイナンシャル・イニシアチブなど金融業界の環境への取り組みについての説明が行われた。

討論では、環境と省エネルギーの2つのテーマに対し、それぞれ両国から3名ずつのスピーカーが自社の取り組みを紹介、その後は主に中国側が質問し、日本側が答えるというかたちで進められた。中国側から、「環境を守る上では企業に対するインセンティブが必要と思われるが、日本の経験からどのようなものが有効と考えられるか」という質問があり、これに対し日本側は「まず環境に関する法整備が必要であり、その次に環境対策への軽減税制や補助金などが考えられる」と答えた。また中国側の「零細企業にとって環境対策は大きなコスト負担となってしまい、なかなか対策を進められない。日本はどのように克服してきたか」という質問には、日本側から「環境対策だけではなく、省エネルギー・省資源対策を同時に組み合わせて行うことで採算が取れるようになるので、そのような総合的な取り組みが必要」との回答があった。

【労政第二本部国際労働担当】
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