日本経団連タイムス No.2832 (2006年10月5日)

会計基準のコンバージェンスに対する理解と協力を求める

−八木企業会計部会長が欧州関係者を訪問


経済法規委員会の八木良樹企業会計部会長は、御手洗冨士夫会長の訪欧ミッションに先立つ9月18、19の両日に訪欧し、欧州委員会、欧州産業連盟、国際会計基準審議会(IASB)、現地企業などの関係者に、会計基準についての日本経団連の考え方に対する理解と協調を求めた。

資本市場のグローバル化の中、日本、EU、米国の間で、会計基準の統合に向けたプロジェクトが進められている。中でも、米国と欧州の間では強い連携が図られており、日本も国際的な流れに後れをとらぬよう、日本経団連では会計基準の統合を積極的に支援し、その実現に向けた働きかけを行っている。今回の八木部会長の訪欧は、その一環として行われた。

欧州委員会のデルゾー域内市場・サービス総局局長代行との会談では、会計基準のコンバージェンスが日・EU双方にとって重要であるとの共通認識が確認された。また、デルゾー局長代行は、今後もEU域内市場に上場する日本企業による日本基準の使用を認めるためには、2008年4月までに日・欧の会計基準の差異をできる限り狭めることが必要であり、そのための作業を急ぐことを期待しているとの見解を示した。

欧州産業連盟では、ド・ビュック事務総長と会談した。現在、IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)は、企業の業績を報告する指標として広く使われている純利益を廃止し、包括利益と呼ばれる新しい指標を導入する方向で検討を進めている。日本経団連では、このプロジェクトの方向性に強い懸念を示しているが、欧州の産業界も同様の懸念を有しており、今後、IASBに対し、適正な会計基準の開発と市場関係者の意見を取り入れるよう、ガバナンスの強化等を欧州産業連盟のほか、米国企業とともに要請していくことで合意した。

IASBとの会合では、トゥイーディー議長らに対し、日本の会計基準の考え方を示し、理解を求めた。

会計基準のコンバージェンスに向けて、日本経団連は、今後も引き続き、基準設定主体や規制当局との連携を図りながら、日米欧の関係者との対話を深めていく。

【経済第二本部税制・会計担当】
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