全国労働委員会使用者委員連絡会議(代表幹事=福岡道生・中央労働委員会使用者委員)が主催する第6回全労委使用者委員研修会が7、8の両日、東京・大手町の経団連会館で開かれ、全国から53名の使用者委員が参加した。
全労委使用者委員連絡会議は、労働委員会の運営に関するさまざまな課題への使用者委員全体としての対応を協議することなどを目的として、2000年11月に発足した全国の使用者委員を会員とする組織。日本経団連が事務局として運営や費用の面から活動を支援している。その活動の大きな柱の1つとして、労働委員会制度の概要や実務を勉強するための研修会を実施しており、今回が6回目の開催となる。
研修会1日目は、杉山幸一・全労委使用者委員連絡会議副代表幹事のあいさつに続き、中央労働委員会会長の山口浩一郎氏が、「公益委員から使用者委員へ望むこと」と題して講演。転換期にある労働委員会における使用者委員に期待する役割について、他の紛争解決機関との関係など今後の課題を含め、山口氏自身の豊富な経験を交えた話を聴いた。続いて、中央労働委員会事務局第三部会担当審査統括官の藤森和幸氏から、「不当労働行為審査手続の概要」と題し、審査手続きの基本的仕組み、審査体制の概要、救済の申立てから調査、審問、証拠、救済命令、和解、訴訟などそれぞれの手続き段階について、詳しい説明があった。さらに、弁護士の丸尾拓養氏が「改正労組法・労働委員会規則の解説」と題して講演。不当労働行為審査の証拠調べに関する構造、労働委員会における物件提出命令、修正大量観察方式などについて、具体的判断や問題となるケースの最近の事例を交えながら、労働組合法および労働委員会規則の解説を行った。
2日目は、最初に早稲田大学教授の島田陽一氏が「最近の裁判例・労働委員会命令例の動向」と題して講演し、労働契約の成立、配転、成果主義賃金、労働時間、解雇、有期労働契約、退職、不当労働行為、文書提出命令などに関する近時の代表的な裁判例について幅広い解説を行った。研修会の締めくくりとして、弁護士の倉地康孝氏が、「使用者委員に期待すること」と題して講演。労働委員会の設置目的、構成、準司法的行政機関であることの性格などの実情についての説明や、使用者代理人の立場からみた労働委員会手続きの各場面における使用者委員の任務とその役割に対する期待について、倉地氏自身の経験も交えた話を聴いた。