日本経団連(御手洗冨士夫会長)の日本ロシア経済委員会(安西邦夫委員長)とロシア産業家企業家連盟(ショーヒン会長)は5日、モスクワで第8回日本ロシア経済合同会議を開催した。
同合同会議は、ショーヒン会長就任後、初めて開催されるもの。同会長はあいさつの中で、過去40年にわたって両国委員会が果たしてきた役割は非常に大きいと評価した上で、グローバルな課題に加え、ロシアにおける投資環境の改善、日本企業がロシアで直面する問題の解決が重要課題であると位置づけ、両国の企業が活動しやすい環境を提供するよう可能な限り努力したいと述べた。
会議ではまず日本側から、法制度の安定性や法解釈・運用の統一、行政全般の透明性、整合性、簡素化の確保など、ビジネス環境の一層の改善を要望した。これに対し、ロシア側委員会でも同様に、政府に対し直接改善を求めていることが紹介され、今後の情報共有について提案があった。
続いて、日ロ間で経済交流が活発に行われている分野を取り上げて意見交換を行い、その中でロシア側から、日本を含む外国企業の投資に対する強い期待が表明された。エネルギー分野では、日本側から大型プロジェクトの推進を要望した。サハリンプロジェクトについては、計画どおりに事業が遂行されることへの期待を表明した。太平洋パイプラインプロジェクトについては、東アジアのエネルギー市場の安定化における重要性を説明した上で、太平洋岸までの第2段階の建設加速を要望した。エリガ炭田開発については、ロシア側のプロジェクト主体決定、早期着工・開発の実現を要望した。
ロシア金融市場に関しては、日本側から、国際資本市場におけるロシア企業の台頭とともにロシア市場の存在感が高まっているとの見方を説明した。ロシア側は、外貨準備高の増大等によってロシアへの投資リスクは低減しており、慎重な日本投資家からみても投資対象になりつつあると、交流拡大への期待を表明した。
ロシアの輸送政策に関しては、ロシア側から、コンセッション法を軸に特に外国企業との官民協力を拡大したいとの考えが示された。日本側からは、シベリア鉄道の運賃の問題を含め、日ロの関係者間で継続的に意見交換を行うことを提案した。
科学技術・情報通信分野における協力に関しては、日本側から、ロシアの科学技術の日本企業による実用化に向けた活動を紹介した。ロシア側からは、鉄道網を利用した高速通信網の整備の急速な進展について説明があった。
最後にショーヒン会長から、対日経済関係発展委員会の新設について説明があった。同委員会の目的は、(1)両国経済団体間の交流拡大(2)ロシア経済界と行政の関係円滑化――とされており、今後ロシア側窓口が一本化されることが期待される。
なお、合同会議に先立ち、安西委員長ほか委員会幹部は、モスクワでソビャーニン大統領府長官をはじめとするロシア政府要人との会談を実施した。