コンテンツ・ポータルサイト(仮称)運営協議会の設立総会が2日、東京・大手町の経団連会館で開催された。同協議会が来年4月から運営予定のコンテンツ・ポータルサイトは、日本で創造された映画やテレビ番組、アニメーション、ゲーム、音楽、書籍、写真などの優良なコンテンツに関する基本情報が検索できる情報サイト。日本経団連では3年にわたり産業問題委員会(岡村正委員長、齋藤宏共同委員長)のエンターテインメント・コンテンツ産業部会(依田巽部会長)を中心に検討を重ね、政府・与党にも働きかけを行ってきた。その結果、政府の知的財産推進計画2006に「国内外の利用者がわが国のコンテンツに関する情報に円滑にアクセスできるよう、関係者が協力して権利の所在情報等を提供できる体制を充実するとともに、2006年度中に、コンテンツ・ポータルサイトの創設に向けた支援を行う」ことが明記されるなど、官民連携による国家的プロジェクトと位置付けられるに至り、その推進組織であるコンテンツ・ポータルサイト運営協議会が設立されることとなった。
設立総会ではまず、岡村日本経団連副会長・産業問題委員長があいさつ。その中で、「日本経団連はエンターテインメント・コンテンツ産業について、日本経済の継続的発展を支えるもの、国民に心の豊かさをもたらす戦略産業というとらえ方をしている」と言及。その上で、わが国には国際的にみても非常に優れたコンテンツが多数あるにもかかわらず、コンテンツ産業の市場規模が諸外国に対しGDP比で低水準にとどまっており、潜在的発展可能性が高いことや、質の面で、一部作品が高い評価を得ているものの、本来、世界的にもっと評価されるべきであることなどを指摘。コンテンツ・ポータルサイトが、コンテンツの利活用の促進や、ジャパン・ブランドの発信を通じて、わが国経済社会の発展に大きく寄与するものであってほしいとの期待感を示した。
続いて、設立趣意書、規約、役員等の選任、設立当初の年度(06年度)の事業計画・事業予算などの諸案を承認。会長を佐藤修ポニーキャニオン会長、監事を齋藤宏みずほコーポレート銀行頭取、顧問を岡村正東芝会長、依田巽ギャガ・コミュニケーションズ会長、佐久間しょう二WOWOW相談役とすることなどを決めた。
総会後には、佐藤会長、依田顧問、佐久間顧問による記者会見が開かれた。その中で依田顧問は、「わが国のソフト・パワーの強化やコンテンツ・ビジネスの飛躍的拡大を図るためには、わが国で創造された優良なコンテンツに関わる基本情報を内外に向けて発信することが重要であり、その基盤として情報検索サイトのコンテンツ・ポータルサイトを整備することが急務である」ことを強調。また佐藤会長は、「民間ならではの創意工夫と、政府の政策・施策等を有機的に組み合わせることで、コンテンツ大国日本として世界に誇れるサイトを構築していきたい」との抱負を述べた。
コンテンツ・ポータルサイトができれば、コンテンツを利用したいと思うユーザーにとって自分が利用したいコンテンツやホルダーの情報が容易にわかるため、利用申し込みや交渉がしやすくなる。主として企業間BtoBでの利用を想定しているが、ジャパン・ブランドの発信の観点から、一般の人々にも楽しんでもらえるようにする。
同サイトで、例えばある映画作品を検索すると、作品名や制作年などの作品情報にはじまり、制作者等に関する情報、作品概要、視聴データ、2次・3次利用の申し入れに必要となる問い合わせ先などが表示される仕組みになっている。原作や脚本、音楽といった関連作品も調べられる。作品の網羅性、カテゴリーの横断性、情報の信頼性、利用申し込みの簡便性といった点で、わが国では他に類をみないサイトとなる。また、ジャパン・コンテンツの国際展開や海外文化発信も目的としているので、英語化にも積極的に取り組んでいく。
なお、実際の運営は、NPO法人映像産業振興機構(VIPO)が行うことを予定している。