日本経団連タイムス No.2822 (2006年7月20日)

ドミニカ共和国・フェルナンデス大統領と懇談

−フェルナンデス大統領、経済関係強化の意義強調


ドミニカ共和国のレオネル・アントニオ・フェルナンデス・レイナ大統領と日本経団連との懇談会が4日、都内で開かれ、日本経団連からは宮原賢次副会長らが出席した。

あいさつの中でフェルナンデス大統領は、「日本としては、地理的に遠く、経済規模が小さいドミニカ共和国との経済関係を強化する意味は少ないと考えるかもしれないが、発想を転換すれば、日本にも新しいチャンスが広がることを強調したい」と述べた。その理由として大統領は、同国が米国との自由貿易協定(DR―CAFTA)に署名している(現在、同国では発効に向け手続き中)だけでなく、北米自由貿易協定(NAFTA)全体を視野に入れて、カナダ、メキシコと、さらにはEUともFTA交渉を行っていることを挙げ、「日本企業にドミニカ共和国を北米市場へのゲートウェイ、踏み台として認識してもらい、米国、カナダ、メキシコやEU市場を睨んだ生産基地として活用してほしい」と示唆した。
さらにフェルナンデス大統領は、ドミニカ共和国の持つ比較優位について、(1)近く、米国とドミニカ共和国のFTAが発効すれば、同国で生産した財を関税なしで米国に輸出できるようになる。こうした有利な条件は、ドミニカ共和国の企業のみならず同国に進出した日本企業にも与えられる(2)同国は米国の東海岸に近く、飛行機でマイアミまで1時間50分、ニューヨークまで3時間である(3)日本と比較して労働力が安価である――と述べ、「これら3つの比較優位をもってすれば、ドミニカ共和国の競争力は高まる。これを武器に日本企業を誘致したい。日本企業は米国の東海岸をターゲットに事業を展開することができる」との考えを示した。

さらにフェルナンデス大統領は、ドミニカ共和国が供給できる人材について、(1)高等教育が進んでおり、40の大学があって進学率も高まっている(2)IT技術へのアクセスを促進するための政策を講じる中で、私立、公立の教育機関にコンピューターの設備を導入しており、IT技術を理解する能力は高い(3)バイリンガル政策を進めており、母語のスペイン語に加えて英語教育を充実させることによって2つの言語と文化を併せ持つ国民が育っている(4)ドミニカ共和国の人口の10分の1は米国に住んでおり、米国の大学やカレッジで数千人の若者がITや電子工学、マーケティングなどを学び、近代的な経済活動に必要な人材に恵まれている(5)多くの若者が米国の多国籍企業で働いた後で、知識と経験を持って母国に戻ってきている――と述べ、「こうしたドミニカ共和国の優秀な労働力を活用すれば、アジア諸国が達成したような経済発展を成し遂げられる」との見方を示した。

【国際第二本部中南米・中東・アフリカ担当】
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