6月13日に開催された第58回労働政策審議会労働条件分科会において、厚生労働省から同省が7月に予定する「中間取りまとめ」に向けた素案として、「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」(以下「素案」)が提示された。
この「素案」について厚生労働省は、4月に示された「労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点」(以下「検討の視点」)に基づいて、4回の審議の中で公労使から出された意見を反映したものであると説明している。
しかしながら、使用者代表委員は、6月27日の第59回労働政策審議会労働条件分科会において、「前回と本日の労働条件分科会に、厚生労働省事務局の『素案』が示されたが、同素案がこれまでの労使の検討を反映したものかは、はなはだ疑問である」と主張、(1)翻ってみると、昨年9月15日に出された「今後の労働契約の在り方に関する研究会報告」は、労使の反対が大きかったため、昨年秋からの同分科会では、採用から退職・解雇に至るまで、「労働契約法が必要かどうか、必要とすればどのようなものか」について、白紙で検討審議することとなった(2)その後、4月11日の審議会において厚生労働省事務局から「検討の視点」が示され、そこに記載された論点をテーマに、その後の審議が行われることになったものの、内容に踏み込んだ実質的な労使の議論は満足になされていない(3)のみならず、この段階になって、これまで審議会でほとんど議論の俎上にも載せられていなかった「有期労働契約をめぐるルールの明確化」や「健康確保のための休日」「割増賃金の引き上げ」などが、突然、詳細な内容とともに提示されたことには、驚きを禁じ得ない(4)労働契約に関するルールは、労働基準法、労働組合法に匹敵する重要なものであることから、労働時間法制とともに時間をかけて十分に慎重に検討すべきであり、現在の状態において法整備のスケジュールありきで審議会を進めれば、拙速な議論を誘発しかねない(5)審議会の場で、取りまとめに値する内容的な議論すらなされていない現段階で、この素案をもとに、「中間取りまとめ」が出されることについて、使用者代表委員として断固反対する――と述べ、「素案」および「中間取りまとめ」に反対する立場を表明した。
「素案」および「中間取りまとめ」については、労働者代表委員も同様に反対を表明しているため、現在のところ、審議は一時凍結されている状況である。
しかしながら、厚生労働省は、年末に最終取りまとめを行い、2007年の通常国会へ法案を提出して、労働契約法(新法)の制定と労働基準法の改正を行うことをめざしており、先行きは全く不透明となっている。
日本経団連としては、労働法規委員会労働法企画部会(小島浩部会長)において、使用者代表委員の総意である(1)7月以降の日程は白紙とすること(2)「中間取りまとめ」は行わないこと(3)素案を白紙とすること――の3点について了承した。