日本経団連タイムス No.2819 (2006年6月29日)

「重点計画−2006(案)」および「電子納税の推進」に関する懇談会を開催

−IT利活用推進で意見交換


日本経団連は14日、東京・大手町の経団連会館で「『重点計画―2006(案)』および『電子納税の推進』に関する懇談会」を開催した。懇談会では、内閣官房IT担当室の占部浩一郎内閣参事官、粂井利久グループリーダーから「重点計画―2006」に関する説明を受けるとともに、国税庁の岡本佳郎審議官、百嶋計企画課長から、国税の申告・納税の電子化の推進について説明を聞き、それぞれ意見交換を行った。

内閣官房などから説明聴取

懇談会第1部の「重点計画―2006(案)」に関する懇談では、まず、占部内閣参事官が「『重点計画―2006』は、IT新改革戦略の下での最初の重点計画であり、同戦略で掲げた目標を達成するために、政府が迅速かつ重点的に実施すべき具体的施策を整理したものである」との認識を示し、主要な施策について説明を行った。特に、同重点計画の特徴として、(1)今年4月に内閣官房に設置したGPMO(電子政府推進管理室)を中心に、電子政府システムの構築等の府省庁をまたがる案件について調整を行い、政府部門の全体最適化を早期に実現すること(2)日本では、IT利活用が「部門内最適」レベルにとどまっている企業が多く、米国と比べて大きな差があるため、部門間、そして企業間の壁の除去のため、政府としてもEDI(電子データ交換)プラットフォームの整備等を行うこと――などを示した。

これに対し、日本経団連側は、「電子政府の構築に当たっては、インターフェース部分を含めて、利用者の使い勝手を考慮しなければならない」「IT分野におけるわが国のプレゼンスを向上させるためには、国際標準として採用されることが重要である」などの意見を述べた。これについて、内閣官房からは「電子政府については、今後、利用者の意見を取り込み、利用者視点に基づくシステムを構築、運用したい」「国際標準化の重要性は認識しており、官民『連合』での対応が必要であると考える」との回答があった。

続く懇談会第2部の「電子納税の推進」に関する懇談では、冒頭、岡本国税庁審議官から「現在、国税庁としてもさまざまな対策を検討しているところであるので、電子申告・納税の推進について、ぜひ協力をお願いしたい」との要請があった。続いて百嶋企画課長が、現在の電子申告・納税(e―Tax)システム上で可能となる手続きの種類とその具体的方法の概要、および「一定の条件下での、添付書類の省略容認」「還付申告の処理期間の短縮」等の、現在検討している利用促進のための施策に関して説明した。

意見交換

意見交換では、日本経団連側から「添付書類の送付を含めたすべての手続きを電子化し、また地方税とも連動したシステムとすることで、さらに利便性を向上させること」とともに「中小企業での利用が進まない要因の1つと考えられる、電子申告・納税のために必要となる、電子証明書取得等のための経費への配慮」を求めたところ、国税庁側からは、「現在のシステムは紙ベースの手続きをオンラインに置き換えただけであるので、添付書類の扱いを含め、さらに利用者の利便性が向上するように改善したい」「地方税については、今後適用可能な手続きが増える予定であるため、国税との連携が大きな課題と認識している」「電子証明書については、税理士の証明書で代替することを考えている。しかし、電子証明書は納税だけの話ではないので、総務省と連携して、政府全体として、その普及策を検討したい」との回答があった。
また、日本経団連側が、システムトラブル発生時の取り扱いに関する懸念を表明したのに対し、国税庁側は「まずはシステムを安定稼動させることに全力を傾けたいが、例えば納付期限ギリギリでのトラブルについて、現行の宥恕規定内で対応可能かどうか検討したい」との見解を示した。

最後に、日本経団連情報通信委員会の遠藤紘一情報化部会長が「議論されている諸課題は、今日初めて生じたものではなく、当初からわかっていたものもあり、もっとスピード感を持った対応が必要である」ことや、「メリットを認めると企業は必ず利用する。特に電子申告・納税についてはその傾向が顕著である」ことを指摘。地方税との連携を含めて、利用者である企業にも行政にも意味があるシステムの構築を改めて要請した。
今後、日本経団連情報化部会では、「重点計画―2006(案)」について募集されているパブリック・コメントに対して、懇談の内容を踏まえた意見を提出する予定である。

(「重点計画―2006(案)」に関するパブリック・コメントの募集についてのホームページのURL=http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pc/060601comment.html

【産業第二本部情報通信担当】
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