日本経団連の関連組織である財団法人日本経団連国際協力センター(NICC、奥田碩理事長)が、2005年度の事業として厚生労働省の委託を受けて実施したアジア諸国経営者団体との「共同研究」の結果がまとまった。
この「共同研究」は、アジア各国の企業が直面する共通の経営課題を取り上げ、各国の経験や知識の交流を通じて、課題克服の方策を探ると同時に、経営者団体間の連携強化に結びつけることを目的に、毎年NICCの国際協力事業の一環として実施されているもの。
12回目を迎えた05年度は、「労働安全衛生マネジメントシステム(OSH―MS)と企業のベストプラクティスの活用―企業のグローバル競争力強化のために」をテーマに、アジア13カ国の14の経営者団体(インド2団体、パキスタン、スリランカ、ネパール、バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、シンガポール、ベトナム、中国)の参加を得て行われた。
「共同研究」ではまず、各国の経営者団体が選定した労働安全衛生のベストプラクティス企業の意識と実態に関するアンケート調査を実施。この結果、参加各国の先進企業65社における労働安全衛生への取り組み状況が明らかになった。主要な点は次のとおり。
同時に実施された共同研究参加の経営者団体に対する調査結果からは、主に次の点が明らかになった。
特に中小企業での取り組みを促進するためには、幅広い支援を行うことが重要であり、労働安全衛生担当者に対するトレーニングを提供することが不可欠である。
NICCでは、「アジア各国の経営者団体や傘下の企業が、今後めざすべき労働安全衛生のあり方や具体的な方策についての貴重な示唆を得ることができた。また、アジアの先進企業が、環境経営に次いで労働安全衛生の分野においてもマネジメントシステムをいち早く取り入れて、国際競争に対応しようとしている姿は、日本の企業関係者にも参考になるはず」と評価している。
「共同研究」の詳細に関する問い合わせは、NICCプロジェクト推進部(電話03―5283―5252)まで。