日本経団連タイムス No.2809 (2006年4月13日)

衆院で公益法人制度改革法案の審議進む

−法案審議の動向を見守り、会員へ情報提供活動実施


公益法人制度改革関連法案が、行政改革推進法案、市場化テスト法案とともに、3月10日に国会に提出され、現在、衆議院行政改革に関する特別委員会で審議が進められている。

関連法案は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法案(以下、一般非営利法人法)、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法案(以下、公益法人法)、ならびに関係法律の整備等に関する法案の3つから成る。
昨年12月末から1月にかけてのパブリック・コメント実施当初の関連3法案には、(1)現行公益法人の運営実態に合わない規定(例えば、理事会の年4回以上の開催の強制、理事会議事録に全出席理事の署名または記名押印を強制、代表訴訟制度の導入等)がある(2)定款自治が尊重されていない(例えば、監事の任期を4年に強制等)(3)認定される公益目的事業の範囲が狭い(4)公益認定の基準が法律の適用を受けない広義の公益法人と比べて不平等である――などの問題があった。

そこで、日本経団連では、パブリック・コメントに、会員団体の意見を集約したコメントを提出したほか、年初から、政府・与党に対し、経済団体、産業団体による公益活動の実態とこれまでの社会貢献の実績を説明し、制度改正に当たり、これらの実態・実績を尊重するよう求めてきた。特に法案については、定款自治の尊重、代表訴訟制度の導入反対、公益認定の基準の実態に即した適正化を訴えた。
一連の働きかけの結果、国会提出の法案には、(1)理事会の開催頻度を定款の定めで年2回以上に変更できる(2)監事の任期を定款の定めで2年まで短縮することができる(3)理事会議事録の署名人を定款の定めで全出席理事に代えて全出席代表理事に変更できる(以上、一般非営利法人法)(4)科学技術の振興、公正かつ自由な経済活動の活性化、国民生活に不可欠な物資・エネルギー等の安定供給の確保等を、公益目的事業とする等、認定事業の範囲を拡大する(以上、公益法人法)――等の変更が施された。
以下、法案の概要を紹介する。

一般非営利法人法は、社団法人と財団法人の基本的な要件を定める法律であり、登記により法人格を取得できる(準則主義)。
一般社団法人は、(1)社員総会、理事が必置とされる(2)理事会を設置する法人は、監事を置く(3)負債額200億円以上の大規模法人は会計監査人が必置とされる(4)理事会を原則、年4回以上開催する(定款の定めで2回以上に変更可)――といった要件が課される。
また、一般財団法人は、(1)評議員会が必置とされる(2)理事、監事および会計監査人の選任は評議員会が行う――といった要件が課される。

一方、公益法人法は、一般非営利法人から希望するものについて公益法人認定を行う法律である。従来の主務官庁の裁量による認可・監督制を改め、内閣府に新たに設置する第三者委員会が公益法人の認定と監督を行うこととなる。主な認定基準として、(1)法人の目的および事業が法律の別表に掲げる公益目的事業に該当すること(2)公益目的事業比率が100分の50以上であること(詳細は内閣府令で定める)(3)公益目的事業は利益を出してはいけないこと(4)遊休財産が一定額以上であること(内部留保は1年分程度、詳細は内閣府令で定める)――等が定められる。
現行公益法人は、法律の施行日後の経過期間内に(5年間)、内閣府に対して、公益社団・財団法人への認定申請か、あるいは一般社団・財団法人への認可申請を行わなければ、経過期間終了時に解散させられる。現在の公益法人が一般社団・財団法人へ移行する場合には、移行時点に類似の目的のために処分するもしくは、国庫に帰属する残余財産を確定した上で、移行後、その財産がゼロになるまで公益目的に支出する計画を作成し、内閣府の監督を受けることとなる。

法案は、具体的規制の多くを法律成立後に政省令で定めることとしているほか、(1)公益目的事業は利益を出してはいけないこと(2)代表訴訟制度が導入されること(3)理事会・評議員会の議決権の代理行使が容認されないこと(4)社員権に関する事項や社員総会の開催要領等について定款自治を容認していないこと――等の問題が依然としてある。

そこで日本経団連では、引き続き、施行後の法律見直しや政省令に経済界の意見を反映するよう関係方面に働きかけていくこととしている。
なお、4月6日には、業種別団体を対象に公益法人制度改革に関する説明会を開催したが、今後も法案審議の動向を見守りながら、適宜、本件に関する会員への情報提供活動を行っていくこととしている。

【総務本部総務担当】
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