日本経団連の財政制度委員会(櫻井孝頴委員長)は15日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、自由民主党の柳澤伯夫税制調査会長から、「歳出・歳入一体改革に向けて」をテーマに説明を聴いた。
冒頭、柳澤会長は、歳出・歳入一体改革への取り組みについて、「自民党では、税制調査会が一昨年末に税制抜本改革の必要性を打ち出すとともに、昨年秋の財政改革研究会報告で、歳出・歳入両面の方向性を示すなど、政府に先んじて取り組んできた」と説明した。
その上で、柳澤会長は、一体改革の目標とされるプライマリーバランスの回復(利払費および債務償還費を除いた歳出が、公債金収入以外の収入で賄われる状況)について、「改革の入口に過ぎず、公債残高(GDP比)の発散を防ぐためには不十分」と指摘し、「公債残高の引き下げに向けて、一定のプライマリーバランスの黒字が必要」と主張した。
続いて、一体改革に向けた税制調査会の取り組みについては、「例年は秋から活動しているが、抜本改革に向けた議論を行うべく、今年は3月から検討を開始した」と説明。同調査会の検討課題として、「税制の制度的な改革」や、「財政再建に資する税収確保のための施策」を挙げた。
このうち「税制の制度的な改革」のポイントとしては、(1)経済活性化(国際競争力向上や空洞化防止に向けた税制上の手当。例えば、金融所得の一元化や法人税の問題)(2)少子化対策(子どもの数が増えるほど所得税が下がる仕組みの導入等、税制優遇措置についての検討)(3)これまで先送りしてきた諸課題――を挙げた。
また「税収確保のための施策」については、「既に地方分を含めた法人税率がある程度高いことや、中小企業には相応の税負担が課されていること等に鑑みると、消費税で賄うほかには考えづらい」とした。
最後に柳澤会長は、一体改革を進めていく上で、(1)財政再建に向けて、歳出削減と歳入増加をどの程度行うか、国民のコンセンサスを得ること(2)増税などを実施するタイミングを誤らないよう、経済情勢をよく考慮すること――に留意すべきと強調した。