会社法に基づく法務省令が2月7日に公布されたことを受け、日本経団連は2月27日、東京・大手町の経団連会館において、経済法規委員会および関係部会委員の会員を対象に説明会を開催し、法務省の担当者から解説を聴取した。
会社法は、現行商法・有限会社法を全面改正するものとして、昨年6月29日に成立した。その中で、会計や監査の基準等に関する事項や、株主総会等の手続の細目に関する事項、概念を明確にするための事項など約300の技術的・細目的事項について、法務省令への委任規定が置かれた。そこで、法務省によって約500条に上る法務省令案が作成され、昨年11月末にパブリック・コメント手続に付されていた。
日本経団連が昨年12月1日に法務省令案の説明会を開催した直後から、会員より多数の意見が寄せられたことを受け、日本経団連では、技術的項目については逐次、法務省に伝え、種々の意見交換を重ねるとともに、特に意見が集中した項目は、これを整理した上、各企業の自由な取り組みを支援し過度の負担を避けるべきであるとの観点から、経済法規委員会企画部会(八丁地隆部会長)としてコメントを提出した。その結果、2月7日に公布された法務省令は、経済界の意見も相当程度反映されたものとなった。
今回の説明会では、パブリック・コメントの結果と企業実務に影響の大きい事項を中心に、法務省の解説を受けた。
まず、法務省民事局付の石井裕介氏が、株式、新株予約権関係、内部統制、補欠役員、代表訴訟、事業報告等について解説を行った。
このうち事業報告(現行の営業報告書)に関しては、先のコメントの提出に当たっても、社外取締役・社外監査役に関する開示事項が詳細かつ多岐にわたっていることが特に問題となった。日本経団連では、このような開示により、社外取締役・社外監査役の登用に支障をきたすことが懸念されることから、開示項目の削減・開示レベルの緩和を強く要請してきた。その結果、公布された法務省令では、兼任状況、親族関係等の開示項目について「重要なもの」や「会社が知っているもの」に開示範囲が縮減された。
次に、法務省民事局付の郡谷大輔氏から、計算関係書類、監査、株主への各種書類の提供、株主総会参考書類、計算関係等について解説を受けた。
株主への各種書類の提供に関しては、日本経団連からも要望していた「Web開示」が公布に際し新たに規定された。すなわち、定款に定めることにより、事業報告、株主総会参考書類、計算書類のうちの個別注記表・連結計算書類に記載すべき事項の全部または一部については、株主に対し書面を送付することに代えて、Web上に開示した上でURLを通知することで足りることとされた。
なお、会社法および会社法施行規則、会社計算規則、電子公告規則は、来る5月初頭の施行が予定されている。