日本経団連タイムス No.2802 (2006年2月23日)

官民交流PFI・PPPシンポジウム開催

−講演やパネル討論展開/今後の課題などで論議


日本経団連は9日、地域総合整備財団(ふるさと財団)との共催で、「官民交流PFI・PPPシンポジウム」を開催、日本経団連会員や地方自治体の職員ら約250名が参加した。シンポジウムの冒頭、平島治・日本経団連評議員会副議長・国土・都市政策委員会共同委員長と嶋津昭・地域総合整備財団理事長が開会あいさつした後、来賓の荒木慶司・総務省総括審議官があいさつし、「民間との連携は地方公共団体にとってますます重要になっている。本日は地方公共団体の関係者と民間の事業者が直接、意見交換・情報交換を十分に行ってほしい」と同シンポジウムへの期待を示した。その後、稗田昭人・総務省地域振興課長や野村正・清水建設PFI推進部長、山崎善也・日本政策投資銀行プロジェクトファイナンス部長がそれぞれ基調講演を行った。
また、プログラム後半では、金谷隆正・日本経済研究所常務理事調査局長をコーディネーターにパネルディスカッションを開催。小倉勝彦・日本経団連国土・都市政策委員会PFI推進部会長ほか3名がパネリストとして登壇し、PFIを一層推進していくための環境整備施策や今後の課題などについて議論が展開された。

■平島共同委員長開会あいさつ要旨

1999年9月にPFI法が施行されて以来、これまでに220件を超えるPFI事業の実施方針が策定されている。特に、地方公共団体では国に先がけてPFIを導入しており、その中には、公共サービスの提供や事業の運営に主眼をおいた案件、さまざまな民間収益施設の併設を予定している案件など、独創的な事業が多い。特に今年度は、PFI法の改正が実現し、われわれ民間事業者ならびに地方公共団体のPFI担当者にとって大きな飛躍の年となった。具体的には、(1)サービスの提供を主眼とするPFIが法律上明確に位置づけられたこと(2)事業者選定に関して多段階選抜や入札前協議のあり方について検討する旨が附則に記載されたこと(3)入札に際して非価格的要素を考慮する旨法律上明記されたこと(4)国公有地の有効利用について法律上明記されたこと(5)PFI事業に併設された民間収益施設の第三者への譲渡が可能となったこと――などが挙げられ、今般の法改正は、質の高いPFI事業の推進にあたって不可欠なものであった。法改正を受けて、今後は関連ガイドラインにも改訂を加え、環境整備を一層推進していく必要がある。また、PFI関連法規・制度を実際に運用し、PFI事業を手掛けている最大の主体は地方公共団体にほかならず、ガイドラインの改訂に際しては、地方公共団体と民間事業者とが問題意識を共有して対処することが重要である。

■パネルディスカッションでの小倉部会長発言要旨

PFI法の改正が実現し、PFI事業を推進する環境は一層整備されたと評価している。ただし積み残しの案件も少なくない。入札に関しては、多段階選抜や入札前協議の具体的なあり方について早急に検討する必要がある。また、審査プロセスの透明性の確保も極めて重要な課題だ。これまでにも入札において、何が原因で当落が決定したのかはっきりしない案件が少なからず存在していた。さらに、PFIには事業期間が20年程度と長期にわたるものも少なくない。期間中に当初予期していなかった事情が生じ得る。そこで、事業期間中に契約内容を見直すことが可能となるよう、柔軟なスキームを確立することが求められている。

【産業本部国土担当】
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