日本経団連は6日、「2004年度社会貢献活動実績調査結果」を発表した。これによると04年度の企業1社平均の社会貢献活動支出総額は3億5100万円で03年度に比べ5.1%増加したことや、国内外の自然災害多発を受けて災害被災地支援支出額が大幅に伸びたことなどがわかった。この調査は、日本経団連会員企業と1%クラブ法人会員の合計1390社を対象に、2005年8月〜10月に実施したもの。回答数は454社(回答率32.7%)だった。調査結果の概要は次のとおり。
04年度社会貢献活動支出総額は1社平均で3億5100万円となり、03年度の3億3400万円に比べて5.1%増加した。1社平均支出額が増加した理由の1つとして、災害被災地支援支出額が大幅に伸びたことが挙げられる。04年度は、新潟県中越地震や、スマトラ沖大地震、日本各地での水害など国内外で自然災害が多発した年である。1社平均の災害被災地支援支出額は03年度の200万円の約7倍となっている(詳細は「2、災害被災地支援に関する調査結果」参照)。
災害被災地支援支出額の災害被災地支援を除いた場合の1社平均支出額は3億3600万円で03年度比1.2%増加。分野別でみると、「教育・社会教育」「地域社会の活動」「文化・芸術」で支出額が伸びている。
社会貢献活動支出額の経常利益比は1社平均で1.75%となり、03年度の1.54%を0.21ポイント上回った。
災害被災地支援関連の支出について回答した企業は387社で、その支出総額は55億5500万円に上った。1社平均では1440万円で、これは04年度1社平均社会貢献活動支出額の4.1%に当たる。また、社員や顧客などに募金を呼びかけた企業は221社あり、その募金総額は23億5100万円であった。
災害被災地支援へ取り組んでいる企業は、回答企業の97.2%に当たる422社に及び、非常に高い比率を示している。そのうち、9.7%(41社)が災害被災地支援に関する基本方針を持っており、90.3%(381社)は災害発生の都度、判断している。
支援を決定する判断材料としては、被災地支援を実施している企業の79.9%(337社)が災害や被災の規模を、63.0%(266社)が被災地や被災国とのビジネス上の関係を考慮しているが、多くの企業が複数の要素から判断している。
また、被災地支援の内容としては、会社としての寄付を挙げた企業が90.0%(380社)と最も多く、社内募金の66.8%(282社)がこれに次ぐ。このほかには、復旧・復興作業の応援や社員派遣34.6%(146社)、自社製品や取扱商品などの現物寄付34.1%(144社)、サービス提供や料金減免26.5%(112社)などがあり、本業関連での支援も実施していることがわかった。
被災地支援活動を行う上で今後重要となる課題については、被災地のニーズに関する迅速かつ正確な情報の入手が58.3%(246社)で最も多く、社内体制の整備・強化の52.8%(223社)がこれに続いた。
CSRへの関心の高まりが自社の社会貢献活動に影響を与えていると回答した企業は回答企業の65.4%(297社)あり、影響はないの29.3%(133社)を大きく上回る高い比率になっている。
主な影響としては、社会貢献活動に関する情報公開の強化を挙げる企業が最も多く、影響があると回答した297社の46.1%(137社)に上っている。社会貢献活動の基本方針の見直しは同35.7%(106社)、社会貢献プログラムの見直しは同35.0%(104社)であった。
この調査における社会貢献活動支出額とは、(1)寄付金総額(税法上免税とされるか否かにかかわらず、社会貢献を目的とした寄付金、現物寄付など)(2)社会貢献を目的とした自主プログラムに関する支出額(税法上、広告・宣伝費等で処理されていても、実質は社会貢献活動と企業が認識している支出を含む)の合計をいう。
詳細は、日本経団連ホームページ(URL=http://www.keidanren.or.jp/indexj.html)に掲載。