日本経団連タイムス No.2799 (2006年2月2日)

産業問題委エンターテインメント・コンテンツ関係者連携に関する懇談会

−さまざまなコンテンツ・ビジネスの新たな展望と今後の課題を聴取


日本経団連の産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ関係者連携に関する懇談会(岡村正座長)は1月20日、東京・大手町の経団連会館で第7回会合を開催した。同会合では、スクウェア・エニックスの和田洋一社長、フジテレビジョンの山田良明常務取締役、ソニー・ミュージックエンタテインメントの秦幸雄コーポレイト・エグゼクティブから、コンテンツ・ビジネスの新しい姿と今後の課題などについて説明を聴き、意見交換を行った。

はじめに、和田社長が昨今のゲーム事情を解説。技術の進歩によりゲーム機やパソコンの性能が向上し、1つのゲームがさまざまな端末で利用できるようになったと指摘するとともに、オンラインゲームを事例に挙げて、ゲームソフトを通じてクリエイターが作り上げた世界を追体験するのではなく、1つの世界観をユーザーが自由に体験し、ユーザー自身がコンテンツを作り上げていくようになっていると紹介した。その上で、このような新しいビジネスモデルが生まれる中では、従来の著作権法では対応しきれない事態が生じており、著作権に関する根本的な議論が必要であると訴えた。

続いて説明にあたった山田常務取締役は、テレビ放送における今後のビジネスモデルとして、(1)ブロードバンド上での映像配信 (2)4月から開始されるワンセグ放送 (3)2007年にも開始予定のサーバ型放送――を例示し、それらが、FTTH(光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス)の浸透が予想される2009年ごろに、一般的になるとの見方を示し、期待感を述べた。さらに、今後の課題として、大量の利用者が殺到しても安定して運営できるようエンコーディング技術を発展させることや、コンテンツの2次・3次利用の促進に向け、権利処理や使用料率について国が主導する形で新たな方法を模索することが必要との見解を示した。

最後に秦コーポレイト・エグゼクティブは、デジタル化により、ヒップホップやテクノなどの新たな音楽ジャンルが登場したことに加え、ブロードバンドや携帯電話を通じてユーザーに個別課金し、権利者へはその実績に応じて分配するビジネスモデルが可能になったことを挙げた。その上で、最近はマッシュアップといった新たな音楽スタイルが生まれていることや、P2P(ピア・ツー・ピア)を利用したビジネスモデルが注目されていることを紹介した。

同懇談会では、ソフトやハード、キャリアなどからのヒアリングを重ね、2006年上期を目途に、コンテンツ・ビジネスの飛躍的拡大に向けソフト・ハード等業界が連携して取り組むべき課題について、報告を取りまとめる予定としている。

【産業本部産業基盤担当】
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