日本経団連タイムス No.2798 (2006年1月26日)

産業労働懇話会開く

−団塊世代の雇用問題など論議


厚生労働大臣の私的懇談会である産業労働懇話会(座長=香西泰日本経済研究センター客員研究員)が19日に都内で開催され、当面の労働問題、特に団塊の世代に関わる課題について労使のトップや学識経験者が意見交換を行った。奥田碩日本経団連会長は、同懇話会の意見交換の場で、自社に適した高齢者の継続雇用制度の構築や、退職していく人々の技術、技能、ノウハウの伝承の必要性を訴えた。

懇話会の冒頭にあいさつした川崎二郎・厚生労働大臣は、人口減少が予測より早く進んでいることを述べた上で、労働力人口についても現状の労働力率で推移すると2030年には1050万人減少する一方、各種対策を行った場合には、530万人の減少にとどまるという見通しを示した。
また、川崎厚労相は、高齢者の就業意欲の高さにも言及。「わが国の高齢者の勤労意欲は極めて強いものがあり、60歳前半層の男性の労働力率は、70%にものぼる。これらの人々の意欲と能力を十分に活用することが大切である」と強調し、団塊の世代の問題が活力ある日本をつくっていく上で重要なポイントとなっていることを指摘した。

経済界を代表して懇話会に出席した奥田日本経団連会長は、「4月から施行される改正高年齢者雇用安定法に対応するため、自社に適した継続雇用制度などの構築に努めなければならない」とした上で、(1)07年から団塊の世代が大量の定年を迎え、彼らの持つ技術、技能、ノウハウをうまく伝承していかなければならないこと (2)青壮年期から自らの職業生涯をどのように設計するか真剣に考えなければならないこと――などを説明した。
さらに「高齢者の実態は多様であり、企業での雇用のみならず、地域社会におけるさまざまなNPOでの活躍など、多くの社会参画の機会を高齢者に提供し、その培った力を発揮してもらうことも大切である」と述べた。

技能伝承に関連して、柴田昌治日本経団連副会長は、「日本企業では、経営陣と現場が一体になり、自ら考え、行動する現場主義によって新しい技術・ノウハウが生み出された。こうした現場の『普通の人』たちこそが、国の競争力を高めてきた」と述べ、さらに人材力強化の観点から技能継承のあり方を真剣に考える必要性を説いた。

労働界を代表して出席した高木剛連合会長は、「団塊の世代は認知年齢が十数歳若く、たいへんエネルギッシュである。彼らの持つ能力をNPOなどの公の部分でも活かしていかなければならない」と述べた。

また古賀伸明連合事務局長は、「技能伝承といわれるが、非正規労働が拡大しており、20〜30年後にどういう影響を与えるか関心がある」と述べた。

【労働政策本部雇用・労務管理担当】
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