日本経団連タイムス No.2794 (2005年12月13日)

金属労協との首脳懇談会開催

−若年者雇用と人材育成、技能伝承などで意見交換


日本経団連は11月21日、東京・大手町の経団連会館で金属労協(加藤裕治議長)との首脳懇談会を開催した。日本経団連からは柴田昌治副会長、立石信雄国際労働委員長、大橋洋治雇用委員長、茂木賢三郎少子化対策委員長、加藤丈夫労使関係委員会共同委員長らが、金属労協からは加藤議長、中村正武副議長、小出幸男副議長、宮園哲郎副議長らあわせて16名が出席。若年者雇用と人材育成、技能伝承などについて意見交換を行った。

冒頭のあいさつで金属労協の加藤議長は、民間のものづくり産業は国際競争にさらされており、その観点においても労使の協力は必要と言及した上で、2006年春季労使交渉では、「労働者に対する投資という意味も含めて、従来のベースアップよりも幅広い考え方による『賃金改善』を、労働者があげた成果に対する配分として求めていきたい」との考えを示した。

続いてあいさつした日本経団連の柴田副会長は、すべての産業・企業において人材力が重要であると述べるとともに、技能伝承の問題について、「定年退職を迎え大量に離れていく団塊世代が持っている技能をいかに伝承していくか、また、技能を伝承する若年世代に対し、いかなる教育訓練を施していくか、深く議論したい」との考えを強調した。

その後、「若年者雇用と人材育成」と「技能伝承」を中心に意見を交換した。金属労協は、「ものづくりにおけるテクノロジーは、人の知恵と技術、技能があってこそ活かされるものであり、技能を伝承するための積極的な教育訓練投資が必要である」と指摘。また、非典型労働者が増加している金属産業の現場においては、コア人材の育成が特に重要であり、生きがいや活力を持って働く人への投資も重要であると発言した。
一方、日本経団連からは、「若手社員に対する中長期的な育成プログラムに経営トップがコミットするとともに、管理職の評価においては部下の人材育成を重視していくことも必要である」「教育問題という視点では、“生き抜く力”と“社会に貢献していく力”をつける教育が重要であり、産業と学校の連携に向けて労使ともに取り組む必要がある」「若年者の定着率を高めるため、若年者を働く仲間として積極的に受け入れ、適切なOJTの実施に労使双方が協力していくことが重要である」――といった意見が出された。

このほか、CSRの観点を含めた国際労働問題についても意見を交換。金属労協は、「海外現地法人における労使紛争が増加しつつあり、対応窓口の設置など本社からの積極的な支援体制が必要」と指摘。これに対し日本経団連は、海外現地法人とのコミュニケーションの強化に向けた体制づくりの必要性などについて言及した。

【労働政策本部労政担当】
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