日本経団連タイムス No.2792 (2005年11月24日)

医療制度改革3団体緊急サミット開催

-真の医療制度改革実現へ


医療制度改革3団体緊急サミットが21日、東京・丸の内の東京国際フォーラムで開催された。同サミットは、健康保険組合連合会(健保連、福岡道生会長)全国大会の特別企画として行われたもので、全国の健保組合関係者ら約4500名が出席。日本経団連、日本労働組合総連合会(連合、鄕木剛会長)、健保連の3団体が、『医療費の支払い側』という共通の立場において連携し、真の医療制度改革実現に向けた意見表明を行った。

西室社会保障委員長らが意見表明

日本経団連から出席した西室泰三・社会保障委員長(評議員会副議長)は、厚生労働省の「医療制度構造改革試案」に対する問題点を指摘。まず医療給付費を国の政策目標として設定する必要があると述べた上で、日本経団連が主張する「2010年度に30兆円以内に医療給付費を抑制すべき」との見解を示した。

また、高齢者医療制度が複雑な点にも触れ、厚生労働省の試案が、高齢者を前期(65~74歳)と後期(75歳以上)とに分けて、それぞれで患者一部負担を区別することや、財源負担の仕組みも異にしていることについて、国民から理解されるはずがないと強調。さらに、(1)高齢者は平均的には現役世代と遜色ない所得を得ており、高額貯蓄者の割合も多いのに、現役並みの一部負担割合にしていないこと (2)財政調整の対象となる加入者の年齢は0歳以上となっており、負担能力のない子どもにも負担を求めるに等しいこと (3)年金保険料負担増加に加え、医療保険料負担の増加が重なること――など、若年者から納得の得られない内容になっていると指摘し、改めて高齢者医療費の適正化に取り組む必要があるとの強い意向を示した。
このほか、医療費の総額管理の必要性にも言及し、経済見通しとバランスのとれた医療制度を実現するため、必要な対策を早急に講じるべきと述べた上で、レセプトやカルテの電子化、IT化の導入・推進は、多くの無駄を省く有効な手段であると語った。

同サミットでは、鄕木・連合会長や福岡・健保連会長も意見を表明。厚生労働省試案の高齢者医療制度に対して同様の問題点を指摘したほか、医療機関の役割分担を明確にして、無駄を排除し、医療費を効率化すべきといった点においても一致した見解を述べた。
最後に、今後も3団体がそれぞれの役割を充分に果たしつつ、連携して医療制度改革に取り組んでいくことが重要であるとの認識を共有し、閉会した。

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