日本経団連カナダ委員会(吉野浩行委員長)では、10月31日〜11月1日、カウンターパートであるCCCE(カナダ経営者評議会)との間で、第2回日本カナダ経済会議(日加経済人会議を改組)をカナダのトロントで開催した。
日本側からは、吉野カナダ委員長、財前宏・前カナダ委員会企画部会長、三浦一朗・カナダ委員会企画部会長はじめ5名、カナダ側からは、ドミニク・ダレッサンドロCCCE副会長(マニュライフCEO)、トーマス・ダキーノCCCE理事長ほか8名の経済界首脳が参加した。
両国経済界はかねて、主に首脳間の意見交換の場を通じ、日加経済連携強化の必要性を主張してきた。昨年9月に東京で開催した第1回日本カナダ経済会議では、両国間の貿易・投資を促進するための枠組の立ち上げを要望することで一致した。
こうした民間の声も受け、今年1月、小泉純一郎首相とマーチン・カナダ首相の会談により、「創造的な日・カナダ経済枠組」の立ち上げおよび、貿易・投資と協力の促進に関する共同研究を開始することが合意された。去る11月19日には、日加両国首脳の署名により、枠組の立ち上げが正式に宣言された。
第2回日本カナダ経済会議では、同枠組の将来のあり方および、民間経済界の関与の仕方を中心に、カナダ国際貿易省ピーターソン大臣、フォンバーグ副大臣を招き、意見交換した。また会議終了後、両団体によるプレス・リリースを公表した。
同会議において、日本経団連とCCCEは、共同研究のプロセスに両国の民間経済界の意向が反映されるよう緊密に連携していくことで合意した。ピーターソン大臣、フォンバーグ副大臣からも、ビジネス界から実務に基づく意見を積極的に述べてほしいとの強い期待が示された。
また、同会議に先立ち、日本経団連は、在カナダ日系企業で構成するトロント日本商工会との会合を開催し、カナダにおけるビジネス上の具体的課題に関して意見交換した。その結果、両国の関税引き下げはもとより、カナダにおける厳格な規制や加重な税負担を改善すべきとの認識を共有した。
1988年にNAFTAに加盟したカナダでは、対米輸出が全体の8割を占め、近年は中国との貿易が拡大している。こうした中、日加両国の貿易・投資の促進と円滑化を図っていくためには、カナダの一部に残る高関税の是正、連邦および州政府による規制の改革、また他国にあまり例のない資本税や日加で重複する社会保障などの過重な負担の軽減が必要である。
今後1年間の予定で行われる共同研究においては、上記のような問題点を効果的に解決していく仕組みについて、ビジネス上のニーズ、WTO新ラウンド交渉や両国が現在進めている経済連携交渉の動向など両国をとりまく経済環境の変化を踏まえ、民間を交えて十分な議論が行われることが望まれる。